FinalFantasy7

□つながる体温
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どうしてもあの幽霊ホテルじゃ眠れないものだから、ゴールドソーサー内を散歩している。とっくにアトラクションは運休中だ。

園内のあちらこちらに close の文字が見える。照明も程よく落とされており、周りには人っ子一人いない。

どことなく気分を落ち着かせるものがあった。

適当に歩いていると、どこも運休しているにも拘らず開いているイベント会場に着いた。昼間はあれだけ賑やかだったのが今では嘘のように静まり返っている。

一番後ろのベンチに腰掛けると一つ溜息をついた。エアリスがさっき嬉しそうに話してくれた、

「さっきね、クラウドとショー、出たんだ。クラウド、恥ずかしそうだったけど」


という話を思い出して。

私だってクラウドを誘えたら、って思ってた。

本当、後ろ向きだなあ、エアリスみたいな積極性の欠片も無い。

エアリスにあそこまでアプローチされてても気づかないクラウドのことだから、私の気持ちなんて微塵も伝わってなんかいないだろう。


「何をしているんだ?」


神経を研ぎすまさなくても分かる彼の気配。

彼なりの気遣いなのか、驚かさないようにそっと私の肩に手を置く。


「最近ちゃんと眠っているように見ないが…大丈夫なのか?」

「ええ、こう見えても身体だけは丈夫だから」


振り返らずに答えた。クラウドは私の隣に腰掛ける。肩が密着するほど近くに座る。

え、なにこれ近い…。私の左胸が鼓動を早める。どうか、この音が聞こえてませんように。


「どうだった?エアリスとショー、出たんだって?」

「まあ、な。台詞が棒読みすぎると怒られた」

「そう、」


沈黙。元々多弁ではない者同士が集まったってそこは変わらないのだ。

話のネタなんて常に一緒にいれば目新しいものなんてないし。


「今日は探すのが大変だった。ここまで広いとな」

「一々探しに来なくてもいいんだよ、毎日私に付き合うのも疲れるでしょ。

リーダーに倒れられたらしょうがが無いんだし、私の立場がない。せめて貴方だけは休んで」

「仲間だからな。放っておくわけにも行かない。」


仲間だから?仲間だから毎晩宿泊施設を抜け出す私を探しに来るの?

こんな私みたいな人、勝手に放浪させとけばいいのに。必ず毎朝戻ってくる予定なのにいつもクラウドは私を見つけ出す。

見つけ出すと彼はいつもほっとした顔を私に向けるのだ。優しい、とてもいつも眉間にしわを寄せて剣を握っているようには思えないような安らかな…。

それでこうしていつも何をするわけでもなく、私の隣でいつも毎晩明かすのだ。彼の目的の意図は分からない。

目的なんてどうでもいい。クラウドが誰を見ていたっていい。ただ私は彼が側にいてくれたら…。


「眠いんじゃないのか」

「大丈夫だって」

「いいから、無理にでも眠っておいたほうがいい」


クラウドの右腕が背後に回ったかと思うと、私の頭を自分の頭に預けさせた。

そのままポンポンと頭を軽く叩いた。袖なしタートルネックのクラウドの肩の熱が直に伝わる。

このまま流されてはマズイ。抵抗のためクラウドの腕を押し返そうとするとその手の指がクラウドに絡めとられてしまう。

頭に回されていた手が後頭部にまわった。もう抵抗する術もなくクラウドのその、繊細な顔が近づいてくる。


キスする間際の台詞、


「ずっと好きだった」


とどこまでも優しい口調で囁く彼の唇が脳髄をひたひたと侵していった。






 

  

   

    

     








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