捧げ物
□ナイトメア
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そこは暗い暗い闇のなか。
自分が何処にいるのか、自分が本当に存在しているのか、分からなくなる。
「骸様…骸様…」
自分が自分だと確認するために必要不可欠な彼。
必死に呼びつける。
時の流れは止まったのか、それとも時と言う概念が消えたのか。
「骸様!」
やっと見つけた光。
縺れる足を踏み出す。
彼は無情にも離れていく。
「まって、骸様…骸様ぁ!」
バッと自分の声で目を覚ましたクローム髑髏。
冷たい汗が体温を下げる。
「骸様…」
片眼から溢れ出す涙。
頬を撫でる。
「どうしましたか」
「骸様!」
ベッドの横で優しく微笑むのはまさしく六道骸。
逃がさないようにぎゅっと抱き締める。
「おやおや、ずいぶんと甘えん坊さんですね。怖い夢でもみましたか」
「骸様が…いなくなる夢…」
「クフフ。僕がいなくなるはずかないでしょ」
ゆっくりと指で涙を掬う。
「いつまでもいつまでも、一緒にいますから」
濡れた瞳に口付けた。
END