捧げ物
□離さない。決して、
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カリカリと空欄を埋めていく。
図書室は静かだ。
「獄寺さん…」
「なんだよ」
「…何でもないです」
高校生活もあと少しになり志望校に受けるため『受験勉強』とやらをしなくてはならない。
「獄寺さんは…大学行きませんよね」
「当たり前だろ。本当なら中学卒業したときにイタリアに行くはずだったからな」
予想していた答。
わかっているはずなのに心が軋む。
「じゃぁここで勉強している意味は何ですか…?」
やめて。錯覚を起こす。
「暇潰し」
次のページを捲る指がキレイ。
「そ…うですか」
その通りだ。
彼は敬愛している彼と一緒に異国の地に行く。
でも、でも、
こうしていると
行くこと事態がないように気がする。
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