小説

□光らせている者が光っている
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ある満月の夜
彼らは手を繋いで歩いていた
夜空には大きな大きな満月とキラキラ煌めく星

「綺麗ですねぇ、獄寺さん」
ハルがうっとりした様子で夜空を見上げた

「キラキラ光輝いて思わず見とれてしまいます〜」

ふふっ、と微笑んでハルは獄寺を見た

「星が光っているのは何でだとおもいます?」
「いきなり何だよ」
「頭の良い獄寺さんなら解るかなーと思いまして」
「知るか」
「ふふっ、それはですねー月と星は自分自身で光っているんですよ。ピカピカーって!」

ピカピカー、ピカピカーと繰り返し口ずさみながら、ハルが歩みを進める

「星が光っているだと?」
「はぁ、そうですケド・・・?」

くすっ

「な、何で笑うんですか獄寺さんっ!!」
「ははは・・・いやああまりにも考えが幼稚っつーかアホっつーか・・・」
「はひ!! ハルはアホじゃないてす!!」
「本当の話を教えてやろう。星と月は光ってねーぞ。アレは太陽の光を反射して光っているように見えるんだっつーか・・・常識だろ??」
「そんなぁ・・・ハルは騙されました」

しょんぼりして項垂れハルを見て、獄寺は呟いた


「お前も太陽だろーが」
「ふぇ!? どういうことですか?」

恥ずかしそうに前髪を上げて、獄寺は話を続けた

「お前の笑顔が俺の全てを照らしてくれてんだ・・・っつーか、こんなこと俺に言わせんなっ!!」

恐ろしく顔を赤くし、ハルの手を千切れんばかりに強く握りしめた
明らかに照れ隠しだ

「ハルは獄寺さんの太陽ってことは・・・・・・獄寺さんにとってハルはなくてはならない存在ってことですねぇ?」




ハルは幸せそうに微笑み、繋いでいた手を離す
困惑した様子で獄寺はハルを見下ろす
ハルは自分の両腕を獄寺の腕に絡ませた




「えへへー、ハル幸せですよ。あ、言っておきますけどハルも獄寺さんがいないと生きていけないですからね!!」
「おう」




顔を赤くし、彼らは歩いた
彼らの、彼らだけの家へと
 

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