☆夢置き場☆
□染まれ染まれ紅き蝶
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しかし少女は首を横に振って怒ったように言う。
「駄目なのー!
お母さんはね、この
しおんの花が好きなんだよー!」
てっきり泣くと思っていたが、そうではないらしい。
なんとなく少女に苛立ち、剣を握る手に力が入った。
懸命に花を探す少女にルカの長剣が高々と上げられ…
「―あっ!
コレちょうだい!」
いきなりぱっと顔を上げ、少女がルカに飛び付いた。
ルカは思いがけぬ行動にバランスを崩し、そのまま二人して原野に倒れた。
「あったあった!
うん、花の部分は無事みたい!
これ、もらうねっ?」
言うなり少女はルカのマントに絡み付いていた花を抜き取った。
さっき剣を振るっていた時に入ったのだろう。
こちらが溢れんばかりの殺気を放っているのにも気付かず、少女は満面の笑みで花をポケットにしまい始めた。
こいつはどこまで腹立たしい奴なんだ…!!
ルカはついに我慢ができず、少女を突き飛ばして叫んだ。
「ふざけるな!!!
俺を馬鹿にしているのか!!?」