□貴方に譲ってしまった。私は壊れてしまった。
1ページ/3ページ


ねぇー…
誰か、私を助けてくださいませんか?
私、苦しいんです。悲しいんです。怖いんです。

ジ ブ ン が コ ワ イ

気付かない内に周りの人達を傷つけているの…無意識の様。
だからこそ怖い…自分が。
《私》の意識が戻ると周りには血にまみれた友達だったモノ。私はなにもワカラナイ…だって意識がなかったのだから。無意識の内に友達を傷つけて、意識が戻ると血塗れの物体。
顔の原型が分からないくらいに殴られ、腕の骨が折れてるのかあらぬ方へ曲がっている。
脚はモがれていて、そこからは血と骨が見え、物体の周りには赤黒い肉らしきものが散らばっていて見ていられない。
そして私の手には見たこともない血塗れの鉄パイプが握られており、私は沢山の無残な屍の中心に立っていた。
こんな沢山の死体の中心に立っているのに何故か私に血は付いていない。今も…その状況、場所は校舎裏。
そんな時、物陰からの拍手。
出て来たのは―…


「やぁ、」


この並盛の頂点に君臨している、並盛中風紀委員長―…


『…っ雲雀、さん』


雲雀恭弥だった。
…これは不味い…雲雀さんは群れてる者、校則違反者を嫌い、違反してる者は情け容赦無しで咬み殺すと聞く。
今の私は思い切り校則違反。それどころか法律違反である。
絶対に咬み殺される。
と言うか、今まで何故見つからなかったのか全く持って分からない。
それとも見逃していたのか…なら何故今回は出て来たのか納得がいかない。
まぁ何にしろ今はピンチと言うことで。
雲雀さんは死体まで近付いていき、多分抵抗するときに使ったと思われる鉄パイプを腰を曲げて取り、体勢を戻した。


『あ、のっ…雲雀さ、』


私の顔の横を鉄パイプが風を切って横切る。
いきなりの事もあるけど、鉄パイプが私の顔スレスレを横切ったことに体は硬直した。


「…ミョウジ ナマエ……君、凄いね」

『私の、名前…』

「こんな犯罪行為を犯してる生徒の名前を知らないとでも?」

『……っ…そう。』

「でも嬉しいよ、この学校にこんな強い子が居たなんてね…
丁度暇していたんだ。相手してくれない?」


疑問系なのに有無を言わさない威圧感、この空気は好かない。この緊迫した空気は…。
私は元々争いが好きな訳じゃない寧ろ逆。争って何が解決すると言うのか、ただ傷を負う無意味な行為だ。


「ねぇ、無視しないでくれる?」

『…ごめん、なさい』

「謝らなくていいから相手してくれない?」

『…適いませんよ』

「暇つぶしにはなるよ」


…暇つぶし?ふざけないで欲しい。
私は雲雀さんと違って戦いが好きな訳でも暴力で物事を納めようとも思わない…無駄な傷を作るなんて馬鹿らしいから。
雲雀さんは好きなのかな、バトルが、殺シ合イガ。
道理から外れた行為が。


『ふぅん…雲雀さんは戦いが好きですか?』

「…そりゃね、強い相手と戦うとなればゾクゾクするよ」


ニヤリと笑い言う雲雀さんの目は獲物を狙う獣の目だった。
オーラは獣そのもの。


『…間違ってます。
その選択は自分を傷付ける選択かもしれないのに。敢えてその道を選ぶなんて…間違ってます』

「戦いが好きだから戦うんでしょ。それに、君にそんな事を言われる筋合いは無いし、君だってこうして人を壊してるよ」

『…っそれは…!!』


言われて周りを見れば、倒れて動かない人々。
そうだ、私は人のこと言えない。
私だってこうして…何人モノ人達ヲ壊シテシマッテイルノダカラ。



次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ