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□魔女っ子の契約
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春がきて、入学式が終わり、登校から三日目。
僕は気になる子ができていた。彼女はナマエという、可愛めの顔な女子生徒。
だけど、格好は入学式から人目をひいていた。
制服を着くずしすぎているわけではない。改造しているわけでもない。髪型もセミロングの黒髪を下の方で二つ結び。
ただ、黒のマントを身にまとい、黒の魔女帽子を被って、明らかに
関わり合いたくない部類の人間の格好だ。
最初見た瞬間はアホかと思った。
もちろん注意したけど僕は、ナマエの笑顔に惹かれ、不覚にも恋心を抱いてしまった。
そしてそんなナマエは格好だけじゃなく性格もぶっとんでいる。
『雲雀さん、魔法の授業終わったので遊びにきたですよ』
「…、あぁ、理科ね」
『魔法ですっ!天空がどうなるか未来予知できるのです!』
「あぁ、天気予報ね」
『ここには興味深い人間も多いですし素晴らしい魔法学校です!』
「興味深い人間と素晴らしいには同意見だけど、此処は魔法学校ではないよ」
『魔法学校ですっ!だって雲雀さんは魔法が使えますです』
「日本語が可笑しくなってるけど大丈夫?」
『雲雀さんは魔法でステッキを召喚できるです!』
「トンファーは召喚してるんじゃなくて隠して…」
『すごいっ!私も早く一人前の魔法使いになりたいですっ』
「……そう、頑張ってね」
と、まぁこんな感じにどっかから得体の知れない電波を送られている。
どうしても話したい僕はこのよくわからない言語をたった三日程度でなんとか解読し、彼女と話せるようになった。
幸いにといったらなんだけど、こんな性格故にクラスでは浮いた存在でそんなに友人はいないらしい。
ナマエは『神様ってば私に試練を与えているのですね!いじわるなんですからっ』とそんなに気にしていないようだ。
(いつから神様はそんな親しげに話せる存在になったの?)
『ソーダ雲雀さんっ!私サンダーの魔法が使えるようになったんです』
「『そうだ』ね、『ソーダ』はやめてくれる、飲み物になっちゃうから。
で、サンダーの魔法って?」
『じゃあいきますよっ』
「え、」
ぎゅ、
いきなりナマエが僕にだきついてきた。
え、待ってよ、まだ心の準備ができてないんだけど。
こういうのは段階ふまないと駄目だと思うんだ僕は。
ちょ、背中くすぐったいよ、触んないで。
ええ、そんな、微笑まれたら僕…顔が赤k、
「Σ!!、ξ☆ι♪※〆仝〃±×∀√Å£≠@※!!!!!!!」
『一定時間敵をマヒ状態にするサンダー魔法です!!』
「それはスタンガンだ…っ!!」
…体が動かない。
気絶はしなかったものの椅子に座ったまま動けない。
僕があんな奇声をあげられるとは知らなかったな…ありがと、もっと好きになったよナマエ。
(というかスタンガンであの電圧は異常だ。絶対改造してるよ…)
はぁ、とため息をついてナマエを見ればにこにこ笑いながら『これは幻の薬草から作られるというあの…!!』とかぶつぶつ言いながら僕の飲んでいたお茶をみている。
…ちゃんと見てみろペットボトルに『お●い、お茶』って書いてあるだろ、それはただの緑茶だよ。
「全く…なんで、…いきなりやるかな…」
『…。』
「?なに。」
『…あ、あのですね。…、』
「…はっきりいいなよ」
『っマヒ状態の相手に、愛情をもって接すると、仲間になる契約を交わせられるらしいですっ…』
「は…?」
『だからっ…』
「え、」
ちゅ、と短いリップ音のあとナマエは顔を赤くしてばたばたと応接室をでていった。
僕は呆然としたあと、
「え、あぁ、…そういうこと?」
仲間にするつもりなのか、と解釈した。
後日、ナマエに『男女が聖なる口づけ交わした場合、2人は結ばれなくてはならないのですよっ』と赤い顔でいわれ、僕があの行為の意味をちゃんと理解したのは言うまでもない。
(ごめん、本当に仲間にされるのかと思ってたよ)(…仲間より深い絆で家族にしてやるです)(え?)(なんでもないですっ)
end