□天使の笑顔
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〜天使の笑顔〜



大好きな人を殺めました。
俺は大好きな大好きな君を殺めた、した。
だって好きなんだから仕方ないよ。普通の愛し方じゃ伝わらないと思ったから…、なんて冗談だよ、嘘。
殺したのは俺の愛情表現なんだ、愛故に殺したんだ。
最初は何もなく普通につき合ってたけど、好きで好きで好きで溜まらなくなって我慢出来なくて君の笑顔を見る度に、好きって言う気持ちが高まって、誰にも見せたくないって独占欲が生まれて、君を殺した。
血まみれな君が綺麗に見えた。
君の目は希望がくても綺麗に見えた。
君の白い肌には赤がよく映えた。
殺した張本人の俺はただ君の肌を触った。
君の肌は冷たくなっていてビックリして軽く放心した。
そのあとただ君を見つめてた。綺麗で綺麗で綺麗で。
言葉を紡げない君の唇にキスをしてみたけれど、最初の頃は赤くなっていた顔も今は反応を示さずただ眠ってる君。


「ねぇ、君は今シアワセ?」


そんな訳ないと分かっていても問い掛けてしまうのは俺が愚かだから。
自分が愛故に殺してしまった人に問い掛けるのは愚かで失笑が自然に出る。
でも愚かで学習能力が無いのか俺は問い掛け続ける。


「ねぇ、君は今シアワセなの?
俺は"シアワセ"なのかよく分からないんだ。
君を殺しておいてこの口が何を言うか、めしいけどとまらない」


ごめんね、と続けた。
君は俺の勝手で殺されたのに、俺がシアワセという満足を手に入れるために殺されたと言うのに。
俺はそのシアワセが分からないと言うんだ。
君はとても迷惑だろうね。
迷惑極まりない俺を許してなんて言わないよ。
でもごめんと、謝ることは許して欲しい。だって掴んだこのシアワセとやらが、本物のシアワセか分からないって言うことは、俺はこの出来事に後悔していると思う。
だから謝らせてよ…好きだから殺したのに悲しいなんて思う矛盾した俺を馬鹿だと笑って。
笑顔を奪った俺が言えることじゃないのは分かっているんだ、でも言わせて…笑って欲しい。
また再び笑顔を向けて、綱吉って呼んで。
涙は頬を伝う、俺は後悔ばかりだ。


大好きな天使の笑顔で。
(俺が言う資格は無いけれど、生き返って。)


end
 

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