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□─すれ違い─守と愛
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『コロネロ』
「………」
声をかけてみるも見事に撃沈。目の前のマフィアな彼氏、コロネロはひたすら本を読んでいる。
『コロネロ』
「………」
またもや無視。少し苛立って強く声をかける。
『コロネロ!!』
「…煩いぞ、コラ」
『無視するんだもん』
「…黙ってろ、コラ」
いつものことだけど語尾にコラって何!怒ってるの!?口癖なら他のにしとけ!!…とは思いつつ、あくまで冷静に。
『ねぇ、暇じゃない?』
「暇じゃない」
『むー…』
「口で言うなコラ」
全く、ホントにツンツンしてるんだから。
ツンデレって呼んであげようかな?あ、ライフルぶっ放されそうだからやめよう、生命の危機はまだ来なくていいよ。
せめて70〜80歳は生きていたいもん!出来れば90いきたいけど流石に大変だしね。
うん、動けないで生きてても面白くない。
…あれ?なにこの脱線方向は。
なんでツンデレから死について語ってるんだろう、まぁいいか。
というか彼女を放置とか酷いなっ!
『…ねーぇ』
「…」
『…ちゅーしちゃうよ?』
「・・・。」
本から目を話したコロネロに馬鹿かお前、みたいな呆れた目で見られた。
本気なのに、正しくは最終手段なのに。
地味にショック…相手にされてないみたい。なんか私可哀想な子みたくなってない?すごく可哀想な子になってない?…コイツ本気にしてないな、本に視線戻ってますよー。ムカつきますよー。
『ねー、ちゅーしちゃうよー?』
「ー―…。」
本当に無視なの?かなり、精神的にきた。
そんなに興味ない?そんなに対象外なの?そんなに…嫌なの?
『キスするよ。』
「…したいならしろコラ」
『っ!!…』
「口先だけか」
『…してやろうじゃない』
「……!」
馬鹿にしたように笑ってあんまり興味なさそうにいうから。
単純なのをわかってるのに私は喧嘩を買ってしまった。
立ち上がりコロネロのいるソファへ向かう。
足を組みソファに座るコロネロの膝の上に座ってもさほど気にした様子なく本を読むコロネロに苛立って、私は本を奪って床に放った。
(…本にヤキモチなんて情けない)
「なんだ。ヤキモチかコラ?」
『…出来ないからだよ』
どうして違うこと言っちゃうんだろう。
合ってるのに…そうだよ、って素直に言えばいいのに。
たったそれだけのことが、察されて、意地張って、言えないんだ。
「するなら早くしろ。時間がもったいない」
『…!』
そう言って目を閉じるコロネロに悔しさがわき上がってくる。ホントに興味ないなんて。
どうして彼女にしたのか分からない。どうしてこんな奴好きになったのか、自分が分からない。
私とコロネロの顔が近付く間際になって視界が歪んできた。
目頭が熱くなっている状態で勢いのままに近づく。
『…ん、…』
「……」
触れるだけのキス。
今の私を誤魔化すようにしただけのキス。
コロネロは私を見た瞬間目を見開いた。
目の前で私が泣いているからだとは思うけど、あなたは結局何も言ってくれない。
『…っ』
「……」
耐えきれない、馬鹿みたいな自分が。
興味を示さないようなコロネロの瞳が。
立ち上がって逃げるように部屋を出た。ボロボロ頬を伝う涙なんか気にせず。
体力に限界がきてひとしきり走ったら涙は止まってて、道の真ん中で立ち止まった。
私、泣くほどコロネロが好きなんだ、どんな態度されたってそれは、変わらない。
『コロネロ…』
そう呟いて私は来た道を再び走った。
例えコロネロがどう想っていたって私はー…
──────
…本当は、オレだってナマエに触れたい。
けど、だけど、オレはマフィアだ。大事な奴を危険に晒したくない。
それでもナマエを彼女にしたのは勝手なオレの我が儘。
オレの近くに置いておきたいから心を縛る。
けど、危険に晒したくないから離れさせる。
…本当に勝手で我が儘ばかりな自分に腹が立つ。
「ナマエ…」
ぼつりと自分一人しかいない部屋で呟いてオレはソファから立ち上がって部屋を出る。
危険がどうした。あいつのことは俺がー…
──────
一緒にいたい。守ればいい。
触れ合うまで後三秒
(あいしてる)
end