□切なる願いを込めて
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気づいてくれませんか。

私はあなたが大好きだって事を…綱吉先輩…。

────

今日もいつも通りの通学。
いつも通り校門をくぐり抜け、いつも通り上履きに履き替え、いつも通り廊下を歩き自分の教室へ。
教室はいつも通りに騒がしくて、いつも通りに席についた。
窓際の一番後ろ、なんて有りがちな席なんだろう?私は別にこんな席になりたかった訳ではないのに。
授業をサボれるベストポジション?そんなことじゃないよ、幸せを感じるのは。
私が幸せを感じるのは綱吉先輩の隣だけ。絶対に叶わないけれど、そこだけが一番幸せになれるポジションなの。


「ナマエ?またぼーっとして…大丈夫?」


幼なじみのトモが話しかけてきた。
同級生のトモとは幼稚園からの長い付き合いで、よく相談なんかにのってくれる良き友。
相談ってのは勿論恋愛関係も、だからトモは私が綱吉先輩が好きだって知っている。
よく諦めなって言うけど、そんなこと心から言ってないよね?私の心配をして言ってくれてるんだよね?でも、言いたくないんだよね?それを言うあなたの顔は―…。


『…トモ、』

「諦めなよ、ナマエ…」


酷く悲しそうだから。


『…諦め半分、チャレンジ半分だよ。』


私だってチャレンジばかりなんて元気な漫画の主人公なんかにはなれない。
そりゃもうヘコむよ、だけど、諦め100%なつまらない人生にだってしたくないから、半分は諦めて半分は頑張る。
ちょうどいい割合


「ナマエ…」


幼なじみは悲しそうな、なんとも言えないような、複雑な表情を浮かべて私を見ていた。
私は叶わない恋だって諦めない。最後までやってみて自分が駄目だと感じるまではチャレンジしてみるんだ。
だからまだ、大丈夫…


『トモ、私はまだ大丈夫だよ、駄目だったらカラオケ付き合ってね…っ』

「…分かった。」


優しく微笑んだ幼なじみに見送られ私はパタパタと二年生の教室へ走った。
綱吉先輩のいる教室へ─…

───
かたん、とドアから2−Aの教室を見ると…いた
くりくりまんまるな大きい目、栗色ツンツンな髪の毛、綱吉先輩。
並盛中のマドンナ…京子先輩と仲良さげに話す綱吉先輩がいた。
周りには野球部のエース…山本先輩と不良でカッコイイと噂の…獄寺先輩。
私は行けるのか?微量の恐怖すら感じるあの中に。
正直怖い、あんなに仲がいいと…京子先輩と綱吉先輩は噂がある。
といってもついこの間からいい感じという噂が立ってるだけで付き合っているという噂はないのだけれど。
それでもそういう噂を聞くとどうしても震えが起きる。
二年生の教室に入ることは怖くなんかない。
フラれることのほうが何倍も、 怖いから。
私は意を決して綱吉先輩の元へ近付いた。



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