□愛情は変わらない
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ごめんなさい。
大好きです


雲雀さんー…


──────


知っていたんです
あなたに婚約者ができたこと。
適いませんよ、あんなに綺麗で優しい方には。
あなたを愛するという点では私だって負けないですけど。

なんでそんな優しげに笑いかけてるんです?雲雀さん…
前は《邪魔くさい女だよ》っていってたのに。

優しく微笑みかける相手は私じゃなくあの人で、悔しいなぁ…こんなに好きなのに。
苦しい、まだ言ってないんですからね。

《好き》の一言。

言えないに決まってますが。
だって、そんなに優しく輝いている雲雀さんなんて初めてみたんです。
好きな人に幸せになってもらいたいと思うのは、当然でしょう…?

でも、それでも、たくさんの《雲雀恭弥》を知ってしまった私は、苦しくて仕方ありません。
どうしたら、いいのでしょう。
…決まってます。諦めがつくように…、あなたを忘れられるように、



キキーッ…ドン!!




『………』

「…!!…目が覚めた?ナマエ…」


目を開いて一番最初に視界に入ったのは安堵した雲雀さんだった。
有り難いなぁ…こんなにうまく、一番初めにきてくれるなんて。
私は発した、雲雀さんに向かって、


『…貴方は、誰ですか?』


「…っナマエ…?」

『私は…ナマエ、というんですか?』

「…なに、いって」

『……あなたは?』

「……ッ」


悲しそうな顔をした雲雀さん。
ごめんなさい、ごめんなさい。
けれど、付き合ってください。私のケジメのために。

私、思ったんです。
そんなに雲雀さんを好きで忘れるのが辛いならば“好き”さえ言えないならば、雲雀さんの中の私を消すと。
そうすれば私は雲雀さんを諦めざるを得ないんです、だってあなたの中には友人としての私すらいないのだから。

もう一度なんて、あなたならないでしょう?

0からなら私だってあきらめられるはずでしょう?

だから


「ふざけないでよっ…!!」

『ひ、ぁっ!?』


ガッ、と胸ぐらを掴まれ近距離まで引き寄せられた。
私はおびえるふりをした。
雲雀さん…あなたは本気でいってくれてるんですか?それとも、いつもの私だったら怖がらないと知っていて試しているんですか?なにしても、怒りを私にぶつけているのは分かっちゃいますよ。


『ぁっ…ぁ、…』

「…っナマエ…──、」


ガララ、パタン
私が震える一芝居を打てば、雲雀さんはいままでみたこともない苦しげな顔をして、私の耳元で一言ささやいた。


『………ひばり、さ…雲雀さん……っ!!』


“…っ僕は君が好きなんだよ?”

そんなこと、いわないでください、
ポタ、ポタポタ、と私の手の甲に涙が落ちた。
頬を伝う涙が唇につき口に入って、しょっぱい。
(…じゃあ、婚約者はなんなんですか。
ふりなんですか、あんな綺麗な笑顔が?)
雲雀さん、あなたがわかりません…。
私にやり切れなさと期待と疑問を残し去っていったあなたが。


今すぐ貴方に逢いたい

(その疑問に答えをください)(違う、彼女が君のことを褒めるから、僕もつい笑顔になってしまったんだ)



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