短編小説

□2人とシュークリーム1個(R)
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すたすたと前を歩く漆黒の髪の人物を綱吉は懸命に追い掛けていた。

「ひ、雲雀さん!」
「なに。」

振り返った彼の目を見て、綱吉は呼び止めなきゃよかった!とさぁっと青くなる。

(ひぃー!やっぱりめちゃくちゃ怒ってる〜!)

久々に向けられた底冷えのするような眼差しに、背筋をいやな汗が伝う。
しかし、頭のなかで今日の行動を振り返っても別段雲雀が機嫌を悪くするようなことはなかったはずだ。

今日は朝は会えなかったから放課後の応接室で初めて会って、それから雲雀のいれてくれた紅茶でほのぼのとお茶をしてた。
その空間に並中校歌が流れるまでは。
いつまでも鳴り止まない校歌に、雲雀は一瞬めんどくさそうな顔をしてため息を吐いてから携帯を取り出していくつか会話をすると、少し用事ができたからと言って止める間もなく窓から外に飛び出していってしまった。
一人残された綱吉は勝手に帰るわけにもいかず、紅茶と出されたシュークリームをかじりながら待っていたわけなのだが、しばらくして帰ってきた雲雀は机の上を見るなり、不機嫌そうに眉をひそめてからクルリと踵を返して廊下をすたすたと歩いていってしまったのだ。
綱吉は訳がわからないがほっとくわけにもいかず、とりあえず雲雀を追い掛けることにした。

そして今のこの状況。


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