「やっと今日も終わったぁ。」
あれから3日。
今のところ何事もなく仕事をこなしている。
坂田議員と夫人は、多忙のため事務所に寝泊まりしていて、この家にはなかなか帰ってこない。
しかし、この家にはちゃんとしたシェフもいるし、掃除係もいる。
俺はいわゆる坊ちゃんたちのお世話係ってわけ。
って、そんなことよりも!!
俺は…坂田家の秘密を知ってしまったんだ。
坂田家長男と五男は恋人同士だ。
兄弟で、男同士という禁断の関係。
あの後…
『そういえば、父さんと母さんは知らないから黙っててね、長谷川さん。』
と、笑顔で総悟様に脅された。
「はぁ…。」
俺…ここでちゃんとやっていけるかな。
そう思いながら、坂田家を後にした。
――――…
「長谷川さん、俺のネクタイ知りませんか?」
ちょうど夕飯が終わり、お風呂を入れに行こうとした時だった。
いきなり十四郎様から呼び止められた。
「あぁ、ネクタイでしたら十四郎様のタンスの右上あたりに入れておきましたよ。」
「そうですか。ありがとうございます。」
そう言って自分の部屋に戻って行った。
十四郎様は、退様の次に常識人。
IT企業の若手社員で、早くも実績を積んでいる優秀な人材だと聞いている。
ただ…あの生粋のマヨラーぶりにはついていけない。
するとまた声をかけられた。
「もう風呂わいた?」
晋助様だ。
女みたいな容姿は総悟様と同類だが、どちらかというと晋助様は綺麗系だ。
総悟様は可愛い系。
確かに男らしい銀時様とお似合いだ。
って、違ーう!!
危うくホモを肯定しようとした。
「聞いてる?」
晋助様の声で我に返った。
「あ、すみません。今から…。」
「じゃあ、わいたら呼んでくれ。」
「は、はい。」
「それと…」
「?」
「ホモじゃなくて、BLだから。」
「!?」
そう言い残すと、さっさとリビングに戻った。
思考回路読まれてる…。
それからしばらくして風呂がわいたので、晋助様を呼びにリビングへ向かった。
「晋助様、お風呂の準備ができました。」
「あぁ、分かった。」
と、お風呂場に向かう晋助様の背中に何か飛びついてきた。
「一緒入ろー。」
銀時様ー!!
2人はイチャコラしながらリビングから消えていった。
あれは普通なのか?
背中流しあうだけだよな?
「どうですかねィ。」
「ッッ!!」
いつの間にやら、隣に総悟様が立っていた。
「晋助たちが入ってるときに、風呂場通るとたまに変な声聞こえるんでさァ。」
「え?」
「荒い息づかいと、あっ、て声。」
ちょー!!
それ思いっきり何かしてるよね!?
思いっきり何か楽しんでるよね!?
そんな俺を面白そうに眺める総悟様。
「長谷川さん、後で俺の部屋に来てくだせェ。この家の秘密、教えてあげまさァ。」
この家にまだ秘密あんの!?
楽しそうな総悟様を横目に、俺はリビングを後にした。
――――…
俺は総悟様の部屋の前に来ていた。
秘密ってなんだろう…。
不安に思いながらも、ドアをノックした。
コンコン。
すると、中から総悟様の声が聞こえた。
しかし、何と言っているのか分からない。
もう一度ノックをしてみる。
コンコン。
するとまたもや、何か中から声が聞こえた。
不審に思い、ドアに耳を押し当ててみる。
すると…
「…い…や…。」
総悟様!?
総悟様が嫌がっている!!
危険を感じた俺はドアを思いっきり開けた。
「総悟様ッッ!!」
しかし、そこには…
裸の男に組み敷かれた総悟様の姿が。
「へ…?」
俺は固まった。
なぜなら…
総悟様が股を広げている相手が男であるということ。
その男が…十四郎様であるということ。
えーーッッ!!
「やっと来ましたねィ。そ、これがこの家のもうひとつの秘密。」
さっきと同じ、総悟様の楽しそうな声。
「おい、総悟。何もこんなときに呼ばなくても…。」
十四郎様…突っ込みどころ…間違ってます…。
「長谷川さん、俺とトシ兄は付き合ってるんでさァ。」
気が遠くなる中、総悟様の妖しげな笑みがぼんやりと映った。
to be continue...