俺は泣き虫だ。

小さい頃からメソメソ泣いてばっかりで、よく周りに笑われた。

それがまた悔しくて、恥ずかしくて、余計涙が溢れた。

今もまた泣いてる俺。

なんでかって?

だって…


となりのペドロ泣けんだもん!!

感動しても泣くし、痛くても泣くし、悲しくても泣くし、笑いすぎても泣く。

「みんな泣くだろ。」

って、幼なじみの銀時に言ったら

「お前は泣きすぎなんだよ。」

って、鼻で笑われた。

正直むかついた(笑)

ほんとの事だけど。

「ほら晋助ティッシュ。」

「あんがと。」

ちちょっと鼻を拭いて立ち上がった。

「晋助どこ行くの?」

「トイレー。」

「大?」

「バカか。中だ。」

「中ってなに…?」

すぱん、と襖を閉めてトイレへ。


アホ面さげてる銀時なんか知るか。



――――…


「ねー晋助、何時に帰んの?」

「…。」

「おーい。」

夕日の差し込む狭い部屋で横になってたら、銀時から背中叩かれた。

「晋助ってば。」

「なんだよ…。」

起き上がって銀時を見る。

「お前さ、泣き虫直す気ないの?」

いきなりなんだ。

「直したくても直んないんだよ。」

ふてくされて横を向く。

「晋助。」

「…。」

「ねぇ晋助、こっち見て。」


優しい声に誘われて銀時を見る。

「なに?」

「晋助が泣き虫な原因って…母親のせい?」


「あ…。」


記憶の欠片がパラパラ落ちる。

『あたしがこんなに泣いてるのに、あんたは何も思わないの?』

ヒステリックな顔で、声で、俺を縛り付ける。


『ごめんなさい…。』

俺の母親。

『あんたはなんでそんな笑ってられんのよ。』

『おかあさ…』

『あんたも泣きなさいよ!!なんで…なんであたしだけ…っ!!』

いつからか暴力的になった父親。

優しかった母親は、精神崩壊。

よく笑ってた俺は


よく泣くようになった。


泣くことが義務のように、母親に躾られたから。


幼かった俺にとって、母親は絶対的なものであったし、優しかった頃の母親を忘れられなかった。

その影響かは分からないが、涙腺が緩くなったのは確かだ。

はたから見たら、バカみたいに泣いてるようにしか見えないだろう。


ただの泣き虫にしか。


でも…



「泣くことを…やめられないんだ。」

また涙が頬を伝った。

「泣きたくなくても…やめられないんだよ…。」

小さく震える俺を抱きしめて、背中を撫でてくれる銀時。


「ごめん、思い出させて…。」



優しかった母さん。


大好きだった。

母さんの卵焼き、タコさんウインナーも、すごく好きだった。

ごめん。

救ってやれなくて。

俺はあまりに幼すぎたよね。


写真に写った母さんは笑ってる。


もう、いないけど。



「晋助、泊まってっていいよ。」

「え…。」


優しく笑う銀時に、母親を見た気がした。


バカだよな、性別ちげーし(笑)


「オムライス。」

「ん?」

「オムライス食べたい。」


「お前なー(笑)」


「銀時オムライスぅー!!」


「あー、わーったよ(笑)」

俺をどけて、キッチンへ向かう銀時。



ありがとな。


お前がいてくれて良かった。



END.



[TOPへ]
[カスタマイズ]




©フォレストページ