君は何も言わなかった
僕は何も言わなかった
久しぶりに見た君は
最後に会った時と変わらぬ顔で
静かに微笑んでいた
けれど
その笑顔は
少しだけ違って見えて
ふと横顔に落ちる翳りの濃さが
少し胸を切なくさせた
共に闘うと決めた
義の為、だけではなく
犯してしまった罪の償いの為に
そして
何より今は君の………
「緋勇…龍麻、僕は……」
「……ありがとう、壬生君。」
「え……?」
「来てくれて……ありがとう。」
「………………………」
それ以上
君は何も言わなかった
僕は何も言わなかった
「オイ、何やってんだ、龍麻。早く乗れよ!」
「うん、京一。壬生君も早く。」
君は優しく微笑んで
僕の方へスッと手を差し伸べる
「一緒に、行こう。」
「あぁ。」
触れて絡んだ指先の温かさに
握り返した手の力強さに
もう僕の心には
以前のような迷いはなかった
もう二度と
大切なモノを失わない為に
これからは
大切なモノを護る為に
寂しさも悲しみも乗り越えて
人々の全ての想いを背負って
例え、この先に
何が待っていようとも
共に闘うと決めた
義の為、だけではなく
犯してしまった罪の償いの為に
そして
何より今は君の………
前と同じ笑顔を
心からの本当の笑顔を
もう一度取り戻す為に――
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最終決戦前の壬生の心情。
相変わらず妄想過多です(苦笑)