東京魔人學園〜陽之間

□優しい気持ち
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その日、龍麻は風邪をひいていた。

時折、咳き込み出すとしばらく止まらない。
声もかすれてハスキーになっている。
本人は少々こじらせて気管支炎になってしまったと笑っていたが、周りの者にしたら心配でたまらない。
「龍麻くん 保健室に行きましょう」
心配した葵が龍麻の腕を取ると、それまでろくに授業を聴いていなかった京一が立ち上がった。
「マリア先生。龍麻を早退させてやってくれ。」
「…そうね。帰って安静にしてる方が賢明ね。龍麻くん、今日はもういいから帰宅して寝てなさい。」

「‥だっ…」
大丈夫と言おうとしたが声が出ない。
(…そんな、早退するほどでもないんだけど)

困惑する龍麻を急かすように、京一が鞄を持たせて教室の外に押しやる。
「ちょっと…待って、京一」
「うるせぇ、声出すな。お前はいつも無理ばっかするから今日はダメだ。」
「そんな…」
否定しようとして龍麻は、言葉を止めた。
京一が、本気で怒っている。

龍麻は黙って歩き出した。
うなだれた彼は、どこか哀しそうに見える。

「何だか傷つけちゃったみたいね。」
「アイツはあの位言わなきゃ、大人しくしねぇよ。」
憎まれ口をかって出た京一は、ぶっきらぼうに答えると席に戻った。

(優しいのね…)
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