魔人文庫〜龍龍之間

□道行き
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君と僕を乗せた列車は
暗く深い闇の中を走っていく

様々な想いを窓に映して


僕は、君に
笑って欲しかったんだ

僕は、君の想いを
ただ護りたかったんだ


「緋勇君……あの、ね…」

「どうしたの?」

「私……本当はね…本当は……」

「うん」

「……ううん、何でもないの」


寂しげな笑みの中に
飲み込まれた続きの言葉


君の夢が叶わないと
知っていても

本当は何も出来ないと
分かっていても


「緋勇君、その時は」

「うん」

「その時は、一緒に……」


悲しげな瞳の色と
飲み込まれた続きの言葉


僕は、君と
一緒に居てあげたかったんだ

僕は、君の痛みを
少しでも癒したかったんだ


「緋勇…君……」

「比良坂さん」

「ごめんな、さい……」

「比良坂さん……ッ」


崩れて砕け散る君と
飲み込まれた続きの言葉


君を護りたかったけれど

僕は護れなかったけれど


君と僕を乗せた列車は
暗く深い闇の中を走っていく

様々な想いを窓に映して


『ねぇ、緋勇君』

『なに?比良坂さん』

『あの、ね』

『うん』

『………ありがとう』


何度も何度も
飲み込まれた続きの言葉

君が最後まで
言えなかった本当の言葉


僕は、君に
笑って欲しかったんだ

僕は、君の想いを
ただ護りたかったんだ

僕は、もう

悲しい顔を
見たくなかったんだ


君と僕を乗せた列車は
暗く深い闇の中を走っていく

様々な想いを窓に映して


それは、終焉へ向かう

二人だけの悲しい道行き――







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やはりカプ表示は緋勇×紗夜で
ひさよが素敵(笑/紅月)





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