東京魔人學園〜陽之間

□空を見上げて星に願いを
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「……俺さ、村雨はもっと遠慮がなくて強引な奴だと思ってた。」

「ん?まぁ、図々しいとはよく言われるが、な。」

「でも、違う。本当は凄く優しいよな。」

「……………」

「なぁ、やっぱり願い事が叶えば嬉しいだろ?」

「先生、俺の願いを叶えてくれるのかい?」

「俺は………」

龍麻はゆっくりと顔を上げて村雨を見つめた。

「お前が、本気なら。」

真っ直ぐに向けられる強い瞳に、逃げられない程魅了されて村雨は苦笑する。

「参ったな、アンタから先に、勝負を仕掛けてくるとは思わなかったぜ。」

「勝負?」

「いや……やっぱり先生は強いな。参ったぜ。」

「何の事だ?」

不思議そうに長い睫毛をパチパチさせる龍麻に村雨が不意に口付けた。

「村ッ…!?」

「もう、アンタを一生離さねェって事だよ。」

ニヤリと笑って龍麻を軽々と担ぎ上げた村雨は、その身体をベッドへ運ぶと優しく降ろし横たえた。

「あの、さ……」

「うん?」

龍麻の首筋に口唇を落としていた村雨が顔を上げる。

「………今日、誕生日だよな、おめでとう。」

思い掛けもしなかったその言葉に、シャツのボタンを外しに懸かっていた村雨の手が一瞬止まった。

「……………」

「合ってる、よな?」

「……よく知ってたな、驚いたぜ。今日が俺の生まれた日だなんて事を、よ。」

「俺、結構星占いで相性見たりするからさ。」

「……あァ、そういやアンタ、占星術やら以外に好きだったな。」

「………女の子みたいとか思ってるだろ?」

「いや?」

「嘘つけ。」

「先生は可愛いなァと思ってるだけ、だぜ?」

「同じだろ。」

からかう様な口調の村雨に龍麻は唇を尖らせる。

「別にいいじゃねェか、どっちだって。で?どうだったんだ?」

「何が?」

「先生と俺の相性ってヤツだよ。」

「……悪かったら、こんな事してないだろ。」

「はは、違いねェ。」



――満天に輝く星の下

こんな日に
一緒に夜空を見上げれば

驚く程に満たされて

今年迎える今日という日は今迄よりも特別で

隣で微笑う確かな存在に

ずっと勝負を仕掛ける事に躊躇していた

意気地の無かった自分が少しだけ、可笑しくて

こりゃあ、一生、先生には勝てねェよな、と

やっぱり

苦笑するだけだった









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