氷ノプライド+゚終章

□繋がらない電話
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「ごめん岳人。なんか来づらくてさ」


「いいけどよ、部長には一人で謝りに行けよな」


「ジュース奢るからついてこーよっ」


「俺、自主トレあるから無理だね」


「がっくんのケチ。」


「がっくん言うな」

次の日。なんとなく景吾が迎えにきてくれないことを予感していたあたしは、岳人と二人で朝練にきた。


土日挟んでしばらくきてなかったから岳人についてきてほしいのに、このちっこいの、部長と個人的に仲良いわけじゃないとか言って言うこと聞きやしない(怒)

「やあ。もう体調は大丈夫なのかい?」

「!」


驚いて香月が振り返る(岳人は逃げ出した!)


爽やかな笑顔で待っていたのは部長。
怒ってないみたいだけど、めちゃくちゃ怖い…!


「何日も部活を休んでしまってすみませんでした!!」


「いや、いいんだよ。日曜日はもともと予定があったわけだし。それに君が来れなかったおかげで、前のマネージャーが何もしていなかったことを痛感できたからね」


前のマネージャー…聞いた香月は背筋が冷たくなった気がした。


部長が香月の頭をポンと叩く。


「でも、君は別。初めて見た時に分かったよ。頼もしいマネージャーがいると、部内のやる気も全然違うってことがね」

「初めて見た時って…特に何もしなかった気がしますけど…?」


「君が来ただけで、ジロー君が1日中起きてボールを追いかけ回してたじゃない(笑)よっぽど君が来たことが嬉しかったんだろうね」


ジロー…いつから犬に…?汗


「部長。おはようございます」


「おはよう跡部」


景吾の声がして、香月が振りかえると、なぜか不機嫌そうに顔をしかめる景吾の姿があった。
なんだか部長に対して怒ってるみたいだ。



……?


「ははっそんな怖い顔をしなくても…ほら、香月ちゃんには何もしてないよ」


「香月ちゃん?」


跡部の眉間にさらに皺が寄る。


(なんか部長面白がってません?!)


「ね、香月ちゃん、いいよね下の名前で。可愛いし(笑)」


「部長がそうしたいならいいですけど…」


「部内に示しがつかなくなると思いますが」


「うちはそんな堅苦しい部活じゃないし、楽しくやろうよ。なんなら跡部も、何かあだ名つけようか!」


「結構です」


「あ!景吾…」


立ち去ろうとした景吾を追いかける。


「今日…帰りとかどうする?」


「何がだ」


「だから…朝は別だったから…一緒に帰る?」


景吾の顔がうつむく。


そして、ゆっくり口が開いた。


「お前と当分登校も、下校もできない」


「…なんで?」


「予定があるからだ。いつ終わるのかも、まだ分からない」

「そっか…なら仕方ないよね」



「……ああ」



「……景吾?」


どこかよそよそしかった。
昨日のこともあるから、気になってしまう。


「おーい、マネージャータイム測って〜!」


「もう…ジロー、マネージャーって呼ばないでよ〜」


香月はラケットを振り回しているジローの元へ走っていった。


跡部がその背中を、切なそうに見つめていたのには、気づかず。




「ふーん。大分記録伸びたんじゃない?」


「当たり前だC〜!もうすぐレギュラー選抜あるんだぜ!岳人とどっちがレギュラーになるか競争してるんだ!」


「一年はレギュラーって何人なれるの?」


「3人や」


「あ。侑士」


いつから聞いてたのか、ラケットを肩に乗せたまま、侑士が歩いてくる。


「ジロー張り切ってるな〜思たら、岳人と賭事しとるんやって?」


「へえ、何賭けてるの?」


「俺がレギュラーになったら、岳人のスマブラもらえるC〜!岳人がレギュラーになったら、俺のマリオパーティー取られるんだぜ!」


「ソフトが一個増えるか減るだけじゃん。」


「ほな…二人のうちどっちかがレギュラー選ばれたら、俺はロッテリアでなんか奢ったるわ」


「侑士はレギュラー確定?」


「さあな。けど、負ける気ないで」


「負ける気ないってことはトーナメント戦みたいに決めるのかな?」


「いや、部長からは特に聞かされてないけど…」


やったら青学と同じだね。
氷帝中学は景吾といってよしが勝手に決めてた(爆)


「大会って五月にもなかったっけ?」


「ああ。せやからハラハラドキドキなんや」


「真顔でハラハラドキドキって言われましても。」


「俺はいつもハラハラドキドキやで」


「おいこら一年ども!いつまでも喋ってないで練習しろって!」


「わっヤバ!」


「なんや。ちょっと話しとっただけやん」


「いいじゃん、話なら休み時間でいくらでもできるんだからさ、今は練習しなさいって」


「わかってるC〜」


「ほな…俺は跡部に練習つきおうてもらおうかな」



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