氷ノプライド+゚終章

□目移り
1ページ/2ページ



「ジローはひつじでしょ」


「亮は狼かな」


「侑士なんだと思う?」


「あいつは…なんか高い猫じゃねぇの?」


「で、長太郎は犬(笑)景吾は?」


「跡部?跡部は…うーん…」


「お前らさっきからなんの話してんだ」

窓際で何やら楽しそうな香月と、頭を抱えている岳人に跡部が声をかけた。

机に出ているノートには、動物の落書きがされている。


「香月が俺達っぽい動物なんだろうなって言うから、一緒に考えてたんだよ」


「ほくろのあるどーぶつなんかいたかな…」


「おい。何本気でアホなこと考えてたんだ。俺様を何に例えるつもりだ。アーン?」


「ちょ!?ノート返しなさいよ!」


「ちなみに、香月は猿だよな」


「アーン?今でも猿じゃねえか」


「岳人!どっちの味方なのよ!」


「いや、お前からかう方が面白いしっ」

「クソクソ岳人め!」


「狽ィ前人のネタ(?)パクるなって言っただろう!?」


「それはそうと景吾はなんでうちのクラスに来たの?」


いつものじゃれ合いを終え、香月が跡部に話を振る。


最近は跡部が管野にべったりされているため、話ができる機会はなかなかない。香月は内心かなり嬉しいようだ。


「部長にお前に届けるように言われた。歓迎会を開くんだとよ」


「え!?まさかあたしの??」


「当たり前だろうが」


当たり前って…わざわざそんなもてなしてくれなくていいのに。なんだか申し訳ない気がした。


「まあ、ただの食事会だろうが…ついでにお前の歓迎会をやるんだろうよ。」


跡部に渡されたプリントを見る。


一番右上に名前を書く欄、真ん中に日時と参加費用についての概要と、最後に参加するか不参加なのか丸をつける欄があった。


「嬉しいけどなんだか恥ずかしいなぁ…景吾も来るの?」


「アーン?何喜んでんだ。部長命令なんだから当たり前だろ」


ニヤリと言って、景吾に頭をぐしゃぐしゃにされる。



…なんかすごく、幸せかも



「…俺、そろそろ教室戻るわ」


「え?岳人どうかした?」


立ち上がった岳人に驚く香月。


(いつもならチャイム鳴り始めるまでいるのに)


「別に」


「え?何怒ってんの、ちょっと岳人!」

そっけなく出ていった岳人に、あたしは戸惑うばかりだ。


「何が気に入らなかったんだろう…」


「ふん…アイツもまだその気があるみたいじゃねぇか」


「その気って?」


「それよりお前、早く参加か不参加か書け。今日中に提出らしいからな」


なんか景吾に無理矢理話題を変えられた。


「わかった。後で書いて渡しておく」


「ああ…」


「ちょっと景吾」


香月の、跡部の表情が変わる。


二人が廊下の方を見れば、管野が不機嫌そうに足を組んでドアに寄りかかっていた。


「じゃあな香月」


「………うん」


「そんな顔してんじゃねぇよ。…たく、わかりやすいやろうだな」


頭に跡部の手が乗せられ、ずっとこのままいられればいいと思う。


優しい瞳で見つめる跡部に、行かないでほしいと目で訴える。


「景吾!」


「じゃあな」


「あ…」


跡部が管野の方へ行ってしまう。


私以外の、゛景吾 ゛と呼ぶ人のところに。



「…ちょっと。なんで榊のとこなんか来てたわけ?」

「部長から今日中に渡すように言われていたプリントがあった。それを渡しに来ただけだ」


こちらも見ずに前を歩く跡部に、ますます管野の不機嫌さは高まっていく。


「ま。いいけど。アンタはあたしの彼氏なんだから、必要以上に榊に関わらないでね。じゃないとどうなるかわからないわよ」


「それよりお前、俺に用があったんじゃねぇか」


跡部の言葉に、少し気をよくしたらしい管野は声を甘くした。


「そうっ実は放課後立海に用があって、車出してほしいのよね〜別に跡部もついてきてもいいんだけど!」


「わかった。運転手に迎えに越させるように言っておく。」

「ありがとう景吾ちゃん!放課後楽しみ〜っあ、できたらまた貸してね!」


管野がスキップ混じりに教室に帰っていく。


跡部は管野に興味がなかったので、特に立海に行く理由について追求しなかった。




次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ