氷ノプライド+゚終章
□目移り
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「ジローはひつじでしょ」
「亮は狼かな」
「侑士なんだと思う?」
「あいつは…なんか高い猫じゃねぇの?」
「で、長太郎は犬(笑)景吾は?」
「跡部?跡部は…うーん…」
「お前らさっきからなんの話してんだ」
窓際で何やら楽しそうな香月と、頭を抱えている岳人に跡部が声をかけた。
机に出ているノートには、動物の落書きがされている。
「香月が俺達っぽい動物なんだろうなって言うから、一緒に考えてたんだよ」
「ほくろのあるどーぶつなんかいたかな…」
「おい。何本気でアホなこと考えてたんだ。俺様を何に例えるつもりだ。アーン?」
「ちょ!?ノート返しなさいよ!」
「ちなみに、香月は猿だよな」
「アーン?今でも猿じゃねえか」
「岳人!どっちの味方なのよ!」
「いや、お前からかう方が面白いしっ」
「クソクソ岳人め!」
「狽ィ前人のネタ(?)パクるなって言っただろう!?」
「それはそうと景吾はなんでうちのクラスに来たの?」
いつものじゃれ合いを終え、香月が跡部に話を振る。
最近は跡部が管野にべったりされているため、話ができる機会はなかなかない。香月は内心かなり嬉しいようだ。
「部長にお前に届けるように言われた。歓迎会を開くんだとよ」
「え!?まさかあたしの??」
「当たり前だろうが」
当たり前って…わざわざそんなもてなしてくれなくていいのに。なんだか申し訳ない気がした。
「まあ、ただの食事会だろうが…ついでにお前の歓迎会をやるんだろうよ。」
跡部に渡されたプリントを見る。
一番右上に名前を書く欄、真ん中に日時と参加費用についての概要と、最後に参加するか不参加なのか丸をつける欄があった。
「嬉しいけどなんだか恥ずかしいなぁ…景吾も来るの?」
「アーン?何喜んでんだ。部長命令なんだから当たり前だろ」
ニヤリと言って、景吾に頭をぐしゃぐしゃにされる。
…なんかすごく、幸せかも
「…俺、そろそろ教室戻るわ」
「え?岳人どうかした?」
立ち上がった岳人に驚く香月。
(いつもならチャイム鳴り始めるまでいるのに)
「別に」
「え?何怒ってんの、ちょっと岳人!」
そっけなく出ていった岳人に、あたしは戸惑うばかりだ。
「何が気に入らなかったんだろう…」
「ふん…アイツもまだその気があるみたいじゃねぇか」
「その気って?」
「それよりお前、早く参加か不参加か書け。今日中に提出らしいからな」
なんか景吾に無理矢理話題を変えられた。
「わかった。後で書いて渡しておく」
「ああ…」
「ちょっと景吾」
香月の、跡部の表情が変わる。
二人が廊下の方を見れば、管野が不機嫌そうに足を組んでドアに寄りかかっていた。
「じゃあな香月」
「………うん」
「そんな顔してんじゃねぇよ。…たく、わかりやすいやろうだな」
頭に跡部の手が乗せられ、ずっとこのままいられればいいと思う。
優しい瞳で見つめる跡部に、行かないでほしいと目で訴える。
「景吾!」
「じゃあな」
「あ…」
跡部が管野の方へ行ってしまう。
私以外の、゛景吾 ゛と呼ぶ人のところに。
「…ちょっと。なんで榊のとこなんか来てたわけ?」
「部長から今日中に渡すように言われていたプリントがあった。それを渡しに来ただけだ」
こちらも見ずに前を歩く跡部に、ますます管野の不機嫌さは高まっていく。
「ま。いいけど。アンタはあたしの彼氏なんだから、必要以上に榊に関わらないでね。じゃないとどうなるかわからないわよ」
「それよりお前、俺に用があったんじゃねぇか」
跡部の言葉に、少し気をよくしたらしい管野は声を甘くした。
「そうっ実は放課後立海に用があって、車出してほしいのよね〜別に跡部もついてきてもいいんだけど!」
「わかった。運転手に迎えに越させるように言っておく。」
「ありがとう景吾ちゃん!放課後楽しみ〜っあ、できたらまた貸してね!」
管野がスキップ混じりに教室に帰っていく。
跡部は管野に興味がなかったので、特に立海に行く理由について追求しなかった。
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