文芸部(ノベル)

□2010年
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 新年が明けた。
 と、言っても特に変わりはない。
 いつも通り朝は寒く、いつも通り学校が始まる。
 聖創学院付属高校も、今日から三学期。

 始業式を終え、このまま帰るのは何となく惜しい気がして木戸野亜紀はクラブ棟まで来ていた。部室に近付くが、特に誰の話声もしない。と言うことは、誰もいないか、もしくは―――

「お。明けましておめでとう、木戸野」

 後半の考えがあっていたらしく、会話などしないであろう村神俊也と空目恭一とあやめが三人で部室にいた。

「明けましておめでと、村神」
 まず声をかけてくれた村神に返事をする。
「恭の字も、明けましておめでとう」
 それから、空目にも。
「あぁ」
 戻ってきたのは短い返答だったが、亜紀は嬉しくなった。
「そういえば村神。あんたんところ神社だから正月は大変だったんじゃない?」
 不意にそんな疑問が湧いて、亜紀は聞いてみる。
「あぁ。賽銭が集まんのは嬉しいが、あんなに人が多いとな・・・」
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