中編短編
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「あー、ひまー。」
ここはトキワシティのトキワジム。
ここでジムリーダーに次いで古株の(と言っても3年)センパイが床に座ってピッピを抱きかかえてうなった。
「何言ってんですかセンパイ。ついさっきバトルしたばっかじゃないすか。」
「だからヒマなんだって。あいつ弱かったし。」
「…負けた俺も弱いと。」
「そうは言ってねぇだろ。」
「言ってるだろ!」
俺もセンパイもこのジムで働いてるエリートトレーナー。
よく脱走するジムリに変わって最後の砦として任されてるのがセンパイだ。
「センパイ、ほんとリーダー居る時とのギャップ激しいっすね。」
「そうか?」
「いや、居ると緊張するっていうか、いつ解雇されるかヒヤヒヤするっていうか…。」
「ないと思うが?」
「そりゃセンパイは負けなしだからいいっすよ。それに比べて俺は……」
最近負け続けだし。と小声になるのをセンパイは声を上げて笑った。
「あっはっは、だいじょぶだいじょぶ。最終的に帳尻があえばいいんだから。」
自分が勝てばリーダーを呼び戻す必要もないと軽々いうセンパイに俺はため息をついた。
「そーやってセンパイが甘やかすからジムリだって勘違いされるんすよ。」
センパイに勝ってバッジが貰えると勘違いした奴がリーダーに倒されるのも何度も見た。
「あー、ひまー。」
常々思う。
「…俺なんでここにいるんすかねぇ?」
「なんでって、お前、そりゃあ…」
「ただいまー」
リーダーの声だ。
それと共にセンパイはバッと立ち上がって入り口に向かって行ってしまった。
「おかえりぃぃぃ、リーダーぁぁぁ……」
【あなたに会えない日は、気の抜けた炭酸みたい】