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□手の届く場所。
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初めて見たとき、太陽みたいだと思った。

僕には眩しすぎて目を逸らしたんだ。





手の届く場所。




午前の授業を終えて昼寝も兼ねてひとり屋上へ上がる

重厚な扉を押し開ければ空は雲一つない快晴で

昼食を摂る時間も勿体ないと感じ、買ってきたコンビニ袋を近くに放ると手を組んだものを枕代わりにしてごろんと横になった。







「きょーや!」



瞳をパチリと開ける。

目の前には蒼空…、でなく、蜂蜜色。

逆光で顔は暗くぼやけていたが金髪で連想する人物は一人しかいなくて



「…邪魔、しないで。」


眉根を寄せて隠すことなく不機嫌さを全面に押し出して顔をしかめると寝返りを打って再び瞼を伏せる。


いつから其処に居た?

睡眠を妨げられた事や、ディーノの気配に気付かなかった自分へ苛立ちがじわりと心の底に湧いた。


その張本人といえば、いつものへらりとした緩い笑みで恭弥を見下ろしていて

邪魔者扱いされてもその笑顔は絶やすこと無く前身を屈んで覗き込んでいた体勢から膝を折り曲げてすとんとその場に身を落とした。


「キレーな顔…。」

より近付いた恭弥の顔を飽きもせず見つめていると思っていた事を口に出していた。

自分でも驚いて、あ、と声を上げると同時に下からトンファーが飛んできて避けようとしたがバランスを崩して尻餅をついてしまった。



「うわぁっ!」


大袈裟なまでな声により一層眉間の皺を深くして空を睨んだ。



「…ほんと、邪魔しに来ただけみたいだね」

「んなことねーって!コレ、イタリアのオミヤゲ、な?」



ここ暫く顔を見ないと思ったら母国へ帰っていたらしい。


ディーノはこう見えてマフィアのボスだからそれなりに忙しいのだろう。
イタリアと日本を行き来するのもあの赤ん坊やその周りの草食動物の為で、呼び出しが無ければわざわざここまで来る事もない。


地面にぺたりと座り込んだジーンズのポケットから何か取り出すとこちらの方へ投げる。

条件反射でそれをキャッチして掌を広げるとキャンディの赤い小包があった。

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