THE VAMP
□ヴァンパイアの夜明け
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##林間学校##
少しかけ始めた月が、もう昇っている。
それなのに##NAME1##はベッドの上でぼんやりしていた。
昨晩、##NAME2##に掴まれた手首に残る薄紫色の指の跡。
彼はきっとふわりと握ったつもりだったのだろう。
こういう傷で、##NAME2##と自分の世界が違うのだと、毎回思い知らされる。
##NAME1##は重い体を起して支度を始めた時、学園長が家に戻って来た。
「響(ひびき)・・・?」
学園長は姉と姉の恋人の親友。
昔から兄のように慕ってきたため、名前で呼んでいた。
「響じゃなくて、学園長ですよ。##NAME1##
、翡翠に起こして欲しいと頼まれたのですが大丈夫みたいですね」
翡翠は##NAME2##の兄でヴァンパイアの学園長。
昨日の一連も知っているのだろう。
##NAME1##は特殊な為、学園でも隔離され、二人の学園長とともに住んでいたのだが、
あまり二人が会話している所を最近は見ていない。
互いに忙しいのだろう。
昔からそうだった。
忙しくない時は、3人が集う時間にいろんな話をしたり、いろんなゲームをした。
だが、忙しくなると二人が家にいる時間も少なかった。
「平気だよ」
「でも、今日から林間学校ですよ、覚えてましたか?」
「忘れてました」
##NAME1##は直球で答えた。
そうだった。
だからヴァンパイアの夕食会が昨晩になったのだった。
「支度を翡翠がしてくれたようなので、そこの鞄を持って行ってください」
「・・・翡翠って、昔からお母さんなのね」
「そうですね・・・・」
鞄の上にしっかりメモまで残し、響の夕食まで作ってあった。
「・・・兄弟揃って口数少ないのに」
「でも、こういう所はしっかりしていますからね、翡翠は・・・」
二人は笑いあった。
久しぶりに笑った##NAME1##を見て、響は安心したらしく、そっと頭をなでた。
「つらい時はつらいと言っていい。
林間学校もしんどくなったら、帰ってきても構わないから」
##NAME1##はその手に安らぎを感じた。
いつもこの手に、自分の帰る場所を提供して貰っている。
安心できる、この手に・・・・
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