めいん

□仲間はずれの仲間たち
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 ある深い森の中、一匹のトラが俯きながら歩いていました。そのトラは皆と違い、まだら模様ではなく、一切の汚れを知らない純白の毛並みをしていました。そのため、仲間から気味悪がられ、群れから追い出されてしまい、一人ぼっちになってしまったのです。まだ生まれたばかりのトラは、行く当ても無く、深い森を彷徨っていました。

「怖いよう。寂しいよう。」

泣きながら歩き続けます。

 そのうち日も暮れ、幼いトラは歩き疲れて木の陰で眠り始めました。せめて、夢の中ではたくさんの仲間たちと仲良く暮らしていますようにと願いながら。

 朝日を浴び、トラは目を覚ましました。願いが叶い、夢の中ではたくさんの仲間たちと仲良く暮らしていました。しかし、目を覚ましたトラの周りにはだれも居ません。一人ぼ一人ぼっちです。トラは目に浮かぶ涙を拭い、また歩き始めました。

 そんな生活が何日も続き、トラはどんどん弱っていきました。このトラは親からも気味悪がられてしまい、狩りの仕方を教えてもらえず、ほとんど飲まず食わずの生活をしていたのです。体力もどんどんと衰えていく一方で、とうとう歩くことすら儘ならなくなってしまいました。トラは歩くことを諦め、横になって空を見上げました。

「あぁ、なんて青い空なんだろう。」

そこでトラの意識は途絶えました。







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