めいん その他
□君の声は、もう聞こえない
1ページ/2ページ
泣きたい時ほど涙は出なくて、君の名前を呼びたい時ほど声は出なくて。
笑いあいたい時ほど君は居なくて、名前を呼
んで欲しい時ほど君は居なくて。
何時まででも君と一緒だと思ってた。
君の声は、もう聞こえない
誰も居ない静かな病室。白いシーツを被せられた君と、涙すら出てこない薄情な僕。
『きっと明日には良くなってるよ。』
何度も君に言い続けた言葉。僕は震える声で言った。
「きっと、明日には良くなってるよ。」
その言葉に返事はなく、ただ虚しく空を舞う。
何時もよりも白い頬に触れる。だんだんと冷たくなっていく。だんだんと君の温もりが消えていく。
僕はそれが嫌で、両頬に手を添え、少しでも暖めようとする。しかし、僕の願いは叶わず、どんどん冷たくなる君。
「なぁ…寒いだろ…お前こんなに冷たいもんな…今暖めてやるから…」
返事がなくともただひたすらに頬を暖める。
「起きろよ…何寝てんだよ…もう起きる時間だぞ…?」
情けないほど声は震え、情けないほど視界は歪んでいて。
「頼むよ…目開けろよ…なぁ…」
最後は涙のせいで聞き取れないほど震えていた。僕はその震える声を絞り出すように君の名前を呟いた。
「 」
その言葉も、ただ虚しく空を舞った。
僕はこの日、最愛の人を失った。
あとがき