めいん その他

□君の声は、もう聞こえない
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泣きたい時ほど涙は出なくて、君の名前を呼びたい時ほど声は出なくて。


笑いあいたい時ほど君は居なくて、名前を呼
んで欲しい時ほど君は居なくて。


何時まででも君と一緒だと思ってた。



君の声は、もう聞こえない     



誰も居ない静かな病室。白いシーツを被せられた君と、涙すら出てこない薄情な僕。

『きっと明日には良くなってるよ。』

何度も君に言い続けた言葉。僕は震える声で言った。

「きっと、明日には良くなってるよ。」

その言葉に返事はなく、ただ虚しく空を舞う。
何時もよりも白い頬に触れる。だんだんと冷たくなっていく。だんだんと君の温もりが消えていく。
僕はそれが嫌で、両頬に手を添え、少しでも暖めようとする。しかし、僕の願いは叶わず、どんどん冷たくなる君。

「なぁ…寒いだろ…お前こんなに冷たいもんな…今暖めてやるから…」

返事がなくともただひたすらに頬を暖める。

「起きろよ…何寝てんだよ…もう起きる時間だぞ…?」

情けないほど声は震え、情けないほど視界は歪んでいて。

「頼むよ…目開けろよ…なぁ…」

最後は涙のせいで聞き取れないほど震えていた。僕はその震える声を絞り出すように君の名前を呟いた。

「       」

その言葉も、ただ虚しく空を舞った。


僕はこの日、最愛の人を失った。






あとがき
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