SSS

□clap
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甘/1月拍手








ピ‐ンポ‐ン

1月1日、世間では元旦と呼ばれてる日
年が明けた日の朝、早朝にもかかわらず雲雀家にチャイムの音が響いた

「だ、れ…?」

正月の初詣の時間帯に行った、夜明けの徘徊に寄り、眠気の帯びた頭でドアを開く


「…はい、」
「、雲雀君!」
「煩い」

バタンッ

ドアの前に居たのは、満面の笑みを浮かべた南国果実
ウザいから取り合えず、僕はドアを閉めた

「ちょっ、閉めるなんて酷くないですか!?」
「煩いよ、僕は寝るから…じゃあね」


バンバンとドアを叩く骸がウザいけど気にせず寝室に向かう

「無視なんて酷いじゃないですか」
「…何でいるのさ」

僕のベッドに腰掛けていたのはさっきまでドアを叩いていた果実

「前から何度も言ってますが、僕は果実ではありません!
窓の鍵が開いてましたのでお邪魔しちゃいました」

「人の心を読むな…眠い、そこ退いて」
「嫌です、今から、初詣行きましょう!」
「ふざけてるの…僕は寝るんだよ」

「え‐、行きましょうよ」
「嫌だ、それに神社は群れすぎてる」

「雲雀君、服はこれでいいですか!」
「君、僕の話聞いてた?」

骸は僕のクロ‐ゼットを開いて、勝手に洋服を手にしてる

「着替えてください」
「行かないっていってるだろ!」

いい加減、眠たくて苛々していた僕は骸に怒鳴った
そうすれば案の定、骸は眉毛をハの字に曲げて僕のベッドの上で体育座りを決め込みながらぶつぶつ呟きだす

「僕、日本の正月が初めてで…楽しみにしていたのに…雲雀君と行きたかったです…」
「骸…」
「あぁ、すみません…今退きます
邪魔してすみませんでした…」


「……分かったよ、行けばいいんでしょ!」
「!クフフ、流石雲雀君です」

ニコッ、と嬉しそうに笑ってぎゅっと抱き締められた
外にいた骸の体温が少し冷たかったけれど、気にせずその胸に顔を埋める


─────────────

「群れすぎ…」
「やはり、人が多いですね」

着替えを済ませ向かった並盛神社は、やはり新年の祈りに来ているのか沢山の人が溢れ過ぎていて苛立ちが募る

境内に入ろうと人を避けながら先に進むが
狭すぎて骸との距離が開いてしまう

「あっ、骸っ!」


一瞬の内に骸を見失い、はぐれてしまった


人が群れてる

狭い、苦しい、人が近い

怖い、やだ…

1人はいやだっ


「や、だ…骸…ど、こッ!!」
「恭弥ッ!!」

名前を呼ばれ、ぎゅっと後ろから抱き締められる

「…むく、ろ?後ろ…やだッ、怖い…」


僕がそう言えば骸は身体を無理矢理僕の前に割り込ませ、正面から僕を抱き締める

「すみません、見失ってしまいました」
「…骸、」
「帰りましょうか」

抱き締めてくれた骸の肩に顔を埋めたまま、首を横に振る

「…行く」
「ですが…恭弥にここはつらいでしょう」
「大丈夫…それにここまで来たらもう入口に戻れないよ」

僕等はいつの間にか人の波に流されていて本堂の方が近くなっていた
骸も理解した様でため息を吐いて行きましょうか、と微笑んだ

「雲雀君、これならはぐれませんよ」
「?…ッ」

骸は僕の手をしっかり握って境内を進む
20分ほどしてやっと賽銭箱の前に辿り着いた

「やっと着きましたねι」
「そだね、人多い…早く済まそう」
「ん…何をすればいいんですか」
「はっ?」
「言ったでしょう、僕日本の正月は初めてなんですよ」

「そうだったね、ここにお賽銭を入れて、願いを願うんだよ」
「願い、ですか?」
「パイナップルって呼ばれないようにとか…」
「失礼ですね!!……決めました」

賽銭を入れて、2人で手を合わせ各々の願いを願う

「…………」
「…………」
「行きましょうか」
「うん」



帰りも手を繋いで家へと帰る

「僕等の願いは同じでしょうね」
「パイナップルの事?」
「違いますよ!!」
「…骸、」

むっとした骸の頬に背伸びをしてキスをする
そうすれば骸は驚いた様な顔で僕を見る


「恭、弥…あな、た」
「眠い、帰って寝る…」
「あっ、はい」
「…勿論、君もだよ」

「……はい!恭弥、大好きです!」

骸は僕の唇にキスを落とす
恥ずかしくなった僕は下を向く
骸はそんな僕の手を引く



“骸とずっと一緒に居られますように”
“恭弥とずっと一緒に過ごせますように”


僕等の願いはきっと同じ




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