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□変わらぬ想いを
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骸が居ないだけで、こんなになるなんてね
以前の僕なら考えられない事だ
まさか、捨てられた?―…
そう思うと、急に目頭が熱くなる
「骸、ふぇッ…どこな、のぉ?…会いたいよぉ…」
膝を抱えていると、ぎゅっと、ソファ−の後ろから抱き締められた
「恭弥…」
「…ッ、むくろ?…骸!!?」
振り向けば、眼前に骸の顔
「おや、恭弥は僕が僕じゃない誰かに見えますか?」
「骸に見えるけど…」
心地いい体温も
薫る匂いも
抱き締めてくれる優しい腕も
全部、僕が知ってる骸のものだ
けど、骸の身体は……
「君、身体は?」
「残念ながら、本体は向こうにあります
これは、幻覚を実体化したんです」
「じゃあ、なんで体温…」
前、骸が幻覚を実体化した時は抱き締めてくれた腕に体温は無かった
それが悲しかったのをよく覚えてる
でも、今日の骸はあったかい
「ん−、普段でも出来るんですが、これ相当、力使うんですよ
今日は特別な日ですからね」
「特別な日?」
「おや、分かりませんか;;」
「何なのさ?」
「今日が、何日かは分かりますか?」
「5月5日でしょ」
僕が解っていない事に、骸はかなり驚いている
「…そうですか、では目をつぶって下さい
僕がいいって言うまで開けないで下さいね」
「こ、こう?」
目をつぶり、ゴソゴソと音がする中、骸の返事を待つ
「開いて良いですよ」
骸が僕の瞼にキスをした後にそう言ったので僕は目を開いた
「骸、これ…」
「Buon compleanno Kyoya」
僕の指にはめられていたのは、小さな赤い宝石の埋め込まれた指輪
骸の指にも同じ指輪がはめられていた
「今日は、恭弥の誕生日ですからね、誕生日プレゼントです♪」
「そう言えば…」
「まさか、自分の誕生日を忘れてるとは思いませんでしたよι」
「だって、骸が最近、会いに来てくれないから…不安で…仕事だって手につかなかったんだからね///!!」
雲雀は、骸にぎゅっと抱き付く
「驚かせるつもりが、逆に不安にさせてしまいましたね」
すみません、と骸は雲雀を優しく抱き締める
「簡単に許さないもん…」
「おやおや、困りましたね;;
どうしたら許して頂けますか?」
骸は僕の髪を撫でながら問うてくる
「今日、1日ずっと僕の側にいて///」
「よろこんで♪」
「…骸」
「はい」
「……キス、ッ///」
僕がそう言うと、骸は微笑みながら、僕の顎に手を添え唇に深いキスをした
「ん、っふぁん…むくろぉ…」
「何ですか?」
「指輪、…嬉しかった///」
「クフフ、喜んでいただけて良かったです
その石は、ガ−ネットって言うんです」
「ガ−ネット…?」
「宝石言葉は、変わらぬ思い…
僕は、これからも恭弥だけを愛し続けます
恭弥は、僕だけを愛してくれますか?」
骸は、僕の前にしゃがみ込んで、指にはまる指輪にキスをし、上目遣いに僕を見る
「あ、当たり前でしょ///!!」
そう言い、僕は骸に抱き付いた
変わらぬ想いを
(君が生まれたこの日に誓う)
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