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□小さな約束と大きな未来
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アルコバレ−ノの後ろに小さな影

その小さい影は、アルコバレ−ノの横からヒョコっと顔を覗かせる

「ひっくッ、むくろ−?」
「き、恭弥…!?」
「…むくろ?…ッむくろがいるの!」

恭弥は、以前の事をちゃんと覚えている様で、そのまま僕の胸に飛び込んで来た


「こ、これは、どういう事ですか、アルコバレ−ノ!!?」
「見ての通り、壊れたバズ−カに当たった雲雀だ」
「ぱいなっぽ−♪」


アルコバレ‐ノの言葉に少し納得を抱きながら、雲雀を見やれば、慣れたように骸の髪で遊んでいる


「恭弥、パイナップル呼ばわりはやめてください!!」

「まぁ、さっきも説明した通りだ
ツナ達に任せようとしたら泣き喚いてな…やっぱり、お前がいいと思ってな、ヒバリを頼んだぞ」
「はぁ、分かりましたよ…」

「まぁ居ても仕方ねぇ、オレは帰るぞ」
「仕方ないですね、」



「おい、骸」

部屋を出ようとしたリボ−ンが立ち止まり、骸を呼んだ

「今度は何ですか?」
「その姿の雲雀に手を出したら犯罪だぞ」
「なっ!!」



「むくろ−?」

既に、アルコバレ−ノが出て行ったドアを見つめたまま、放心状態だった僕を恭弥が呼び、僕は恭弥の方に振り返る


「あぁ、すいません」
「ぎゅ−って、だっこして」
「いいですよ」
「きゃあ‐!!」


両手をめいいっぱい伸ばしてくる恭弥を抱き上げて、ぎゅっと抱き締めれば、きゃあきゃあとハシャぎだす



クッハ‐!!!
何ですか、この可愛さは!?
頂いちゃって、いいんですか?
そうなんですか!!?←変態



ひとまず、ソファ‐に腰掛け、膝の上に恭弥を乗せる


「ぼくね、むくろに会いたかったの!」
「クフフ、僕もですよ」
「かみさまにかんしゃだよ」
「何故ですか?」
「ん−?ぼくまいにち、むくろに会えるようにおねがいしてたの」

「ブハッ!!」

なんて可愛い事を言ってくれるのでしょう
んっ?誰ですか、今僕を変態呼ばわりしたのは?
僕は、ショタコンではありません!!
恭弥だから萌えるんです!
だから、“ヒバコン”です!!


「あっ、置いてきちゃったの…」
「何をですか?」
「あのね、むくろにあえたらわたそうとおもって、むくろをかいたの!」
「恭弥ぁぁあ−!!
恭弥は本当に可愛すぎます///」
「きゃ−!!」



ガチャッ
「骸さん、話が…骸さん!!?」

丁度その時、骸の部屋に入った犬が見たのは雲雀に高い高いをしている骸

「おや、犬、どうしたんですか?」
「いや、あの…」
「用事があるなら「むくろはぼくのなのぉ!だからかってにはなしかけちゃ、やぁ!!」


骸の首に腕を回し、抱き付いた雲雀は犬を睨む


「ブハァ!!」

恭弥の吐息が首筋にかかって…
ヤバいです、もう六道6918回、廻れます



「むくろ−?はなから、ち−でてるの!」

骸の鼻血を拭き取りながら、そのままティッシュを鼻に押し込む


「フゴッ!!ちょ、恭弥、痛いです!」
「この南国果実、完全に変態らι
それより、何ら、このちっちゃいアヒル?」
「うるさい、かみころしゅよ」
「恭弥、それは言ってはいけない事です」
「だって…」
「だってじゃありません」

「む−…、…ごめんなさい……」


僕が謝罪を促すと、恭弥は不機嫌ながらも小さな声で謝った

「アヒルが謝ったぴょん;;」
「むくろ、これでいい?」
「よくできました♪」


僕が頭を撫でると、恭弥はキャ−、とハシャぎながら更に僕の首に抱き付く


「…骸さん、話はまた今度にするびょん(何か、話す気うせたびょん)」
「?…そうですか、」


犬がパタン、と部屋を出て、2人になった骸の部屋
雲雀は犬が出て行った事を確認すると、骸の服の端をぎゅっと握って口を開いた


「むくろ、ぼくかえりたくないよ…」
「恭弥…」
「ここにいれば、むくろといっしょでしょ
…もうひとりぼっちはやだよ」


昔、聞いた事のある、恭弥自身の過去
両親は共働きで家に居ないことが多く、信頼する事を知らず、友達も頼れる人間も居らず、孤独だった


「しかし…」
「やだぁ、むくろといっしょにいるの!」
「恭弥、聞いてくだ「むくろは、ぼくが、いや…?」
「嫌な訳ありません!!
でも、僕が今の君とずっと一緒に居たら、未来の君が泣いてしまいます」

「みらいのぼく?」
「なかなか、素直になってくれませんが、僕がいてあげないとダメなんです」
「むくろ…」
「…10年、後10年待って下さい、それから先は何年、何十年だってずっと君の側にいます」
「でも、10ねんは、ながい、よ……」


やはり、いくら恭弥と言っても、まだ子供…
そう簡単に受け入れることは出来ないのだろう
恭弥の漆黒の瞳には、また涙が溜まり、今にも零れ落ちそうだ


「大丈夫です、恭弥が僕を想い続けてくれるなら、10年後、必ず恭弥に会いにいきます」

そう言いながら、骸は雲雀のふわふわした黒髪を撫でる


「やく、そく?」
「はい、約束です」
「ぜったい…?」
「必ず、」


「まってるね」

ふわっと恭弥が笑い、ちゅっと柔らかいものが頬に触れたと思った瞬間、僕の視界は、ボフンと言う音とともに煙に包まれた


「…んっ、」
「恭弥、お帰りなさい」


視界が開けた先には、いつもの姿に戻った君が居た…でも、恭弥は俯いているままで、顔を上げようとしない
そんな恭弥を抱き締めて、口を開く

「どうしたんですか?」
「煙が晴れたら、子供の頃の僕の部屋にいた…だけど、いつも通り誰も居なかった」

ぎゅっ、と、恭弥が僕の服を掴む手の力が強くなり、肩は小刻みに震えている


「でもね、これ、机に置いてあったんだ」
「なんですか?」


恭弥が差し出した、筒状に巻いた画用紙を受け取る


「これは…」

開いた紙に描いていたのは、保育園児が描いた様な絵
その絵には青と赤の瞳の人間…?と隣には黒髪の、恐らくこちらも人間、が描かれていた
その横に、拙い字でこう書かれている


“むくろ だいすき”

「……これって!!」
「昔の僕が骸に会えたら渡そうと思ってた絵
…僕、約束憶えてたよ…ずっと信じてた」
「恭弥、」

「長かったよ、でも気持ちはずっとあの時のまま、変わってない、からッ///」
「ッ、僕も大好きです!!!」


絵と共に、真っ赤になった恭弥を抱き締めた



交わされた小さな君との約束は10年の歳月を経て、大きな未来へ繋がってゆく



小さな約束と大きな未来
(もう離しません!!)(苦しい、離れて)


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