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□白の人形
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それが、10年前。骸の温もりを感じた最後。
◇◆◇◆◇◆
「雲雀さん、次の任務のことなんですけど」
弱かった後輩はマフィアのボスになり、呆れることに僕もファミリ−の一員だと、ふざけたことをぬかす。
群れるのは嫌いだった。
否、群れることに慣れ、骸の温もりを忘れたくなかった。
それでもと、珍しく食い下がる草食動物に仕方なく雲雀は風紀財団というマフィアボンゴレとは一切関係ない組織を作り出した。
用がある時(主に任務だが)だけという理由で一応ボンゴレとは連絡を取り合っている
…それに、骸の情報が少しでも欲しかった。
「雲雀さん、最近何かあったんですか?こんを詰めすぎですよ」
「……」
いつものように、任務が終わったという報告書を出しに行った所だった。
「任務は他に回しますから、少し休んでください」
「別にいい」
「良いから休んでください!」
確かに任務を詰めていたのは事実だった。
それでも腐に落ちない休暇の取らせ方。
まさか、
「…骸の情報は?」
「っ、……」
震えたかもしれない声で問えば沢田は驚いたようにこちらを見た。
「何か、分かったんだろ…」
「…はっきりとは分かりませんが、ミルフィオ−レファミリ−に殺られたと」
観念したように口を開いた沢田の言葉に、あまり衝撃は走らなかった。
まさか、彼が死ぬはずがない。
「……本当かい?」
「わかりません…、とにかく今は休んでください」
「……」
無言で頷きボンゴレ本部をあとにする。
休めるわけがない。
10年間全くと言っていいほど情報が掴めなかった骸の居所が割れたのだ。
例え、あの別れが骸の意志でも雲雀は納得がいかなかった。
自身の気持ちをここまで縛り付けておいて、逃げるのか。
いずれにせよ、咬み殺さなければ気が晴れない。
その気持ちは10年で消えることはなく、逆に増えた気持ちもある
寂しくて骸の温もりが欲しい。皆の前では常に気丈に振る舞って、本当は今でも枕を濡らしてる。
「ミルフィオ−レ、か…」
そっと、呟いた雲雀の声は落ち着いていた。
◇◆◇◆◇◆
黒のダ−クス−ツを身に纏った青年が、白の隊服を纏う奴等を殴り捨てる。
ばき、みし、ぼき、など単調でありながら酷くリズミカルな音が鳴り響く。