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□愛の証
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「ねぇ、むくろ」


むくろは、僕が男でよかったと思ってる?
自分が男でよかったと思ってる?


もしも、むくろが女だったら、僕は、むくろの中にたくさん愛を注いで。
これでもかってくらい。
たくさん、注いで。
むくろが、僕との、愛の証を、そのお腹に宿して。

きっと、それは可愛いこどもが、産まれるんだろう。


でも、それよりも。


「僕は、」


むくろのこどもが欲しいよ。
僕の、このお腹に、むくろとの証が欲しいよ。


僕が、女だったら。
子宮があれば。


こんな、ただ、欲を撒き散らすだけの器。
僕は男だってことを、どうしたって、女には勝てないことを知らしめられる。


「ねぇ、むくろ」


僕を、抱いて。
ずっと、ずっと、離さないでいて。
永遠に繋がって、可能性を一滴も零さないように。
僕が、むくろのこどもを、産めるように。

激しく。
優しく。
冷たく、抱いて。

僕には、何も宿らないと、教えて。


そして、早く、証明して。


「むくろのこどもを産めないなら、」


こんな僕はいらない。


「僕は恭弥がいれば充分なんですが」
「僕だって」


むくろがいれば、それで充分。


でも、


「やっぱり、証が欲しいよ」


むくろと、僕が、繋がってる証。


子宮がない僕には、何がある?


「ああ、分かった」


僕の中に、むくろを入れればいいんだ。

早く、早く抱いて。
一滴も零さないように、僕の中に入れてあげるから。
むくろと、僕が、永遠に一つでいられるように。

その、すべてを、僕の中に。


「恭、や…?」


早く、証明して。













ほら、僕のお腹には、むくろがいるの。

むくろと、僕の、愛の証。



(とっても美味しかったよ)(だってそれは)(僕だけが味わえる)(至上の悦び)



 

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