◇リボーン◇
□それが恋でも、
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はじめて出逢った時は、さして興味もなかった。
それが時を重ねるごとに変化していき、やがてこの心を支配した。
沢田綱吉のそういう無自覚なところが大嫌いだし、まわりから守護者だなんだと言われるのも煩わしくてしょうがない。
だから否定してきた。…だけど。
―――なら、離れればいいだろう?雲雀。簡単なことじゃねーか。
赤ん坊に指摘されるまでもなく、わかっている。
そう、簡単なことのはずなのに。
もう、離れることなんて、できない。
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『恭弥さん』
そう名前で呼ばれはじめたのがいつのことだったのか、もう定かではない。
彼が高校生になってからだったような気もするし、マフィアとしてイタリアの地に足を踏み入れた時かもしれない。
全てが“いつの間にか”。
いつの間にか、はじまっていた。
この気持ちも。
いつ終わるかなんてわからない。
『恭弥さん、見てください』
ふ、と見上げた先には沢田が灯す炎と同じ色の空。
『イタリアの夕焼けは綺麗ですね』
大人びた顔で笑ってみせるくせに、どこか遠い目をする。
どこを見ているのか、わからない瞳。
『日本でもかわらないよ』
わざとぶっきらぼうに言えば、途端彼は苦笑する。
ああ、そういう顔のほうがいいな。
変に大人びた君よりも。
ずっと沢田らしい顔を、していればいいのに。
していて欲しいのに。
君はすぐ、遠くを見つめる。
過去を懐かしんでいるのか、今を憂いているのか、未来に絶望しているのか僕にはわからない。
わからないんだ。
どんなに沢田を想っていても、わからないことだらけだ。
『沢田、』
『はい』
にこ、と笑って振り向く君。
胸の内がざわついてしょうがない。
『一度、聞いてみたかったんだけど』
『なんですか?』
『どうして……』
そんなに、遠い顔をするの。
『……どうして、僕だったの。“未来”での、君の共犯者は』
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