◇リボーン◇

□それが恋でも、
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10年も前の話。
僕らは“未来”で戦った。

あとから聞いた話だけど、“未来”の僕は沢田と結託していた。
沢田に死んだふりまでさせて。
それが信じられなかったし、なぜか胸が騒いだ。

『どうして』

どうして僕をえらんだ?
どうして僕はえらばれた?
どうして僕は…。

彼に、手を貸したのだろう。

死ぬなんて選択を許したのだろう。
今だったら横っ面を殴ってでもとめるのに。
どんな手をつかってもやめさせるのに。

(“未来”の僕は、なにを考えていた?)

そして、“未来”の君は。


『俺も、考えたんですけどね』

ぽつり、と彼が呟く。

『わかんないんですよ。だって今の俺は、あの“未来”にいた俺じゃない。白蘭だって、今じゃ全然無害ですし』

全身真っ白だったあの男を思ってか、その口元が僅かにほころぶ。
昔は確かに敵だったが、今じゃなぜか沢田はあの男と仲良くなっている。
軽口をたたいて、一緒にお菓子を食べて、まるで友達みたいに。
…それが気にくわない。

『今も可能性がないわけじゃない。また、あの男みたいなのが現れるかもしれない。その時君はどうするの』

責めるように口にすれば、沢田はきょとんとした顔をして。
ついで笑った。

どうして、そんな顔で笑うの。

『また貴方を、共犯にえらぶかもしれません』
『断るよ』

即決すれば、今度は苦笑して。

『じゃあ、違う方法を考えなきゃいけませんね』

ああ、ほらまた。
胸の内がざわめく。
そんな答えを、聞きたいわけじゃないのに。

そう思ったら、とめられなかった。

僕は、沢田を抱きしめていた。

『恭弥さん…?』

低くなった、君の声。
あの頃の僕に怯えていた小動物はもういない。
彼はマフィアのボスになった。
なのに、相変わらず甘くて優しさを捨てられない。
バカだなって思うこともたくさんある。
なのに離れられない。

離れられないんだ。

『……き、だ』

簡単だったはずなのに。
いつでも離れていけると思っていた。
群れるのなんて嫌いだし、群れるつもりもなかった。
今でも仲間だなんだとくだらないと、そう言っている。
なのに君からは、ちっとも離れられない。

抱きしめる腕に、自然と力がはいる。



『好きだ』
















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