◇リボーン◇
□謀略と策士(中編)
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優しさが欲しい。
でも、優しくされると辛くなる。
あの人からは二度と優しくなんてされないのだ、と嫌でも実感してしまうから。
なんて勝手で、なんて弱虫な自分。
こんな俺に誰かを好きでいる資格なんて、きっとない。
そもそも、ふられた時点で諦めるべきなのだ。
肝心な時に諦めの悪い自分に、我ながら辟易した。
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守護者に囲まれて遊びの算段をはじめた。
なんだか変な気分だ。
こんな普通の友達みたいなやりとりを自分たちがしているなんて、些か信じられない。
むしろ、無理だと思っていた。なにせ顔を合わせれば喧嘩というなの殺し合いがはじまる間柄だったのだ。
しかし、今はどうだろう。にこやか、とまではいかなくともまるで普通だ。いや、友好的であるとさえ言える。こんな友好的になるくらい皆の中で劇的になにかが変わったのだろうか。
(それとも俺があの人を追いかけている間に皆は成長していて、それを俺が今まで気づけなかっただけなのかな…)
だとしたら、なんて薄情なのだろう。
思えばあの人ばかりを優先させて、他の人からの誘いはことごとく断っていた。
なんとも友達がいのない奴だ。
嫌われて当然なのに、皆はむしろ以前より優しく接してくれる。
胸が、痛い。
『十代目?』
心配そうな獄寺の呼び声で、漸く我に返る。
『ごめん、なに?』
慌てて尋ねると、獄寺が心配そうに眉根を寄せた。
『いえ、先程からぼんやりしてるようなので。もしかしたら具合でも悪いんじゃねーかと…』
『大丈夫だよ、どこも悪くないし!ぼーっとしててごめん』
なんとか取り繕ってみたものの、獄寺だけではなく全員が心配気に綱吉を見ている。
その優しさがまた、胸に染みた。
『本当になんでもないんだ。皆、今日はなにして遊ぶ?』
へらり、と笑ってみたもののそれが作り笑いであることは明白だ。
だが皆、それ以上問い質すようなまねはしなかった。
なんてことないふうに、遊びの算段を再開させた。
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