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□プロローグ
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そして、彼女は目的の本を見つけたのかすぐに本棚の間から出て来た。
しかもまっすぐこっちに向かって…?!
マズい…完全にここを離れるタイミングを逃した。別に知り合いでも、ましてや友達であるわけでもないから、いつ離れようとそんな事はどうでもいい!!
しかしそんな状態のままでいる僕の隣に、自分より一回りも小さな彼女が並ぶ。
何故だか分からないけど、体が言う事をきかない。
目がコソコソと彼女を追ってしまう。
とっくに受付を済ませた自分を訝しげに見ながらも、受付の先生が彼女にも一言添えて貸出カードに記入し、本を渡す。
そして、頭を下げて微笑を浮かべた彼女の横顔。白い肌に長い睫毛、整った顔立ちに、白く透き通るような肌に映える銀色の長いサラサラとしたきめ細かい髪。
そのすべてにアレルヤは取り込まれてしまった。
しかしそんなやり取りもつかの間、目的を終えたその女子生徒は再びカウンターを離れようとする。アレルヤは躊躇わなかった。
「あのっ…!!」
「…えっ…きゃっ?!」
バサバサッ!!!!!
行ってしまう彼女に思わず声をかけようとしたアレルヤだったが、焦りすぎて力が籠もっていたのか、振り返った瞬間、横にあったカウンターの配布用のプリントをあろうことか全て床に落としてしまったのだ。
「あっ、ごっ、ごめんっ!!!」
もう何をやっているんだと、ばらまいてしまったプリントの無惨な状況に一瞬にして我に帰り、アレルヤは情けなさと恥ずかしさに涙が出そうになった。
「手伝います」
「……………えっ…?」
トサッ、と鞄と借りたばかりの本を素早く起いて伸ばされた手。
アレルヤは目を疑った。
「これで全部みたいですね。良かった…」
「ごめんね…、…僕が散らかしてしまったのに、手伝わせてしまって…」
「気にしないでください。私こそ、急に驚いてしまって…」
「いや、それは僕がっ…。ごめん、その……君が行ってしまうから、引き止めようと思って…」
「私、を…?」
「あっ!!!!いや、そのっ、変な意味じゃ…!!!!」
すると彼女は何が可笑しかったのか、クスクスと笑いながらそんな僕を見た。
けれど、僕も何だか可笑しくなって、自分でも何を言ってるんだろうって、最後は僕自身もつられて笑っていた。
それが彼女と…マリー・パーファシーと僕の出逢いだった。