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□儚い
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閉じた。
僕の妹の人生。









ガタンゴトン

虚しく車内に響きわたる。
夕暮れ時の夕日はいつもに増して妖しい光を放っていた。

都心から離れていくこの列車は、珍しい二両列車。乗客数は少女一人。
時たま駅員が怪訝そうに見やる。
少女は先程から微動だにしていない。列車の揺れに身を任せているだけの動きしか見られない。全身の力を抜き、瞼を開いたまま何処か下の方を見つめている。目線の先には何もない。

駅員は思う。
この先にはただの畑しかない田舎の方にしか行かない。 いつもなら乗客はいず、彼一人の事が多い。 いたとしても里帰りの者や大きな買い物をしに行った者などしかいない。
だが少女は、いかにもな都会の臭いを放っていたし、里帰りにしても今日は平日。ましてや荷物さえもない。
荷物といえば、右手に置いてある派手な色をしている携帯電話だけ。
制服のままであるし、彼女が乗ってからかれこれ2時間ぐらいが経っていようとしていた。

駅員の考察は続く。









解答まであと、僅かに8分。
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