お宝

□俺と君の初デート
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約束の10分前には到着が当たり前。


俺はそう思って約束の場所に10分前には着くようにしていた。
俺が先に来ていることにびっくりする獄寺が見てみたいのな。


だけど・・・


「あっ。」


なんということだ。
獄寺は既に待ち合わせ場所に来ていた。


なんで俺より来るのが早いんだよ!!
てか何分前から待ってたんだ。


結局俺は獄寺を待たしてしまったということになる。
出だしから最悪・・・。

少し早足になって獄寺の元に向かう。


「おーい獄寺ぁ!」


手を振りながら向かうと獄寺は顔だけこっちに向けて俺が傍に来るのを待った。


「ごめんなのな。待たしちゃったよな?」


「別に。約束前には着てるからいいぜ。でも、山本は遅刻してくると思ってた。」


「ひでぇのな。遅刻なんてしないって。
さっそく映画館に向かうか?」


「うん。」


早く挽回しなければ。


その時、歩こうとした俺の足が止まった。


「どうしたんだ?」


そうだ。
恋人同士は手をつながなくちゃなのな。

でもどうやって獄寺に言うんだ?
第一獄寺がそんなことしてくれるとは・・・思わない。


「なんだよ、言いたいことがあるならさっさと言えよ。」


「えっとその・・・。」


やべぇ。
何て言えばいいんだ。
『手をつなぎたい?』
いやいや、そんな恥ずかしいこと言えるかって。


「その手を・・・。」


「手?」


勇気を出せ山本武!!


「手をっ。」


「だから手をどうしたいんだよ。まさか手を繋ぎたいとか言うんじゃねぇよな?」


「っ!!」


スミマセン、図星です。

俺の反応を見て獄寺がため息をつく。


「恥ずかしいやつだな、ほら。」


「えっ?」


獄寺から差し出された手。
俺は手と獄寺の顔を交互に見る。


「〜っ、繋ぎたいんだろ!ほら、早く行くぞ。」


「おっおう。」


うわ〜俺すっげぇ嬉しいかもっ!!


獄寺の手は白くて長くて、触ってて気持ちい手だった。
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