01/05の日記

20:10
奥州九尾狐奇談 388
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かすがは身じろぎも出来ず、きつく目蓋を瞑った。
最期の時を覚悟する。
が、その一撃はいつまで待っても放たれず、喉を貫く衝撃は訪れない。
怪訝に感じたかすがが目蓋を上げたのと同時に、身体が横に払われた。地面に叩きつけられながらも、視線を青白く光る狐へと向ける。
しかし、先程までの場所に姿はなく、瞳をさまよわせたかすがは、上空で雲間から現れた月を背に対峙するふたつの影を捉えた。
逆光ではっきりとはわからないが、狐と対峙する痩身の人物には見覚えがあった。

「石田…!」

それは確かに、凶王石田三成であった。

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「ぬうう…。三成め…」

同時刻、天守台から三成の姿を目にした刑部は低い呻き声をもらした。

「どこまでも我の邪魔をするつもりか…」

三成は九尾狐を倒し、日の本を不幸たらしめる元凶を排除しようとしている。
だがしかし、この場合真の元凶はどちらであろうか。
いや、真なる元凶は我かもしれぬな、と詮無い事を思い浮かべ、吉継はふいと輿を回した。
じっと見つめてくる謙信を無視し、引き戸へと向かう。

「きゅうびこを ころすのですか?それとも、いしだを?」

「ぬしには関係なき事よ…」

吉継は謙信を一瞥し部屋を出た。

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