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□****清らかに。
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 月の眩しい夜だった。

――清き月影 慈雨も介さず
  気高く 優しく

 テイトは、フラウの部屋の大きな窓から月を眺めていた。
 口ずさむのは、最近覚えた讃美歌。

――主よ 導きたまえ
  雨に迷いし 幼き子供を

 澄んだ歌声は、夜の空気に溶け込み、最初から何もなかったかのようだ。

 部屋の主はというと、唄うテイトの少し後ろ、ちょうど棺桶の傍らから、何気なくその後ろ姿を見つめていた。

 しかし、歌声はそこではたと途絶えてしまった。

 …確かまだ続きの歌詞があったはずだ。

 歌わないのを不思議にそして残念に思ってしまうのは、少年の歌声にすっかり聴き惚れていたからだと理解し、フラウは自嘲気味に笑った。

 ふいに、月を眺めていたテイトが口を開いた。

「この歌詞、おかしいよな」

 あくまで、翡翠の瞳は遥か頭上の月を映したまま。
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