書架

□******なんて無いけど。
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 ごろり、と宿のベッドに転がると、枕元にあった小さな時計が目に入った。
 時刻は午後3時。

「結局今日も帰ってこなかったな…」

 ため息と共に洩れる小さな声は、この少年のものにしては儚げで。

「早く帰ってこいよ…バカフラウ…」

 なんとなく、扉ではなく窓の外を見やりながら、消え入りそうな声で呟いた。

 旅の連れであるフラウが、この宿から姿を消したのが一昨日の夜。
 まあ、夜だから、狩りなんだろうと予想し、テイトは何も言わなかったわけだが。

 夜が明けても待つ人は戻らず、初めての事態に少なからずとも焦りと不安を覚えたのだ。
 ここ2日間、テイトはまともに睡眠を摂っていない。

 やるせない気持ちで寝返りをうつと、ここ2日ですっかり癖になってしまった独り言が零れた。

「うぅ…早く帰ってこないと…」




「こないと、どーすんだ??」

 独り言が途切れた。
 今まで少年一人のみが存在していた部屋に、二人目の存在が現れたから。

「…なんだよ、急に黙っちまって」
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