三ねね話〈SS、お題等〉

□〈お題・年下のあなたへ年下の俺から5題〉
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■年上のあなたへ年下の俺から5題(普通編)


○いつまでも子供だと思ってるだろ



「こらー三成!」



…相も変わらず威勢の良い事だ。

この人の俺に対する発言は、「こら」と「三成」が大半を占める。
いい加減、本気でもってうんざりなのだが、こちらの機嫌など知った事ではないらしい。
俺の一瞥など気にも留めず、得意の仁王立ちで何やらご立腹の様子だ。



「何ですかおねね様」

「何ですか、じゃないでしょ?」



喧々と諭される。
…俺が一体何をしたと言うのだ。
身に覚えが無い、いやむしろ身に覚えがあり過ぎてどの事を言っているのか皆目見当が付かない。
正直面倒臭い事もあり、むっつりと黙り込んでいると、



「また正則達と喧嘩したね?」

「喧嘩……」



大の大人の言い争いを喧嘩と決め込むのは彼女ぐらいではなかろうか。

まぁ意味として間違ってはいないのだろうが、何となく子供扱いされているようで面白くない。
別に今に始まったことではないのだが。

本当にもう、と溜息をつきながら、



「ちゃんと仲良くしなきゃ駄目でしょ?いくつになったの」

「…………」



本気で勘弁して欲しい。

一体彼女の目には、俺達の事がどの様に映っているのだろう。
未だ裸足で道端を駆け回っている童子にでも見えているのだろうか。
一度、本気で問い質してみたい。

…いややはり聞くのは恐ろしい気もするが。


そうして自分の中で自問自答を繰り出していたのが幸いしたか。
いつの間にかお説教は終わっていたようで、



「あ、そうだった。三成ちょっと手伝ってくれる?」

「何ですか」

「あの木箱を取りたいんだけど届かなくてね」



言われて見上げた先には、棚の中程に幾つかの黒塗りの木箱が鎮座していた。
おねね様が爪先立ちで今一度挑戦しているが、生憎指は宙を掠め届きそうにない。

やれやれ。

俺は立ち上がって彼女の背後に立つ。
同じ様に手を伸ばしてみるが、あと僅かに届かない。



「失礼します」



そう一言言い置いて、俺はおねね様の細い左肩に掌を乗せた。
そしてそれを支えに思い切り伸び上がる。何とか届いた。
後は少しずつ指で引き出せば良い、木箱はじりじりと姿を現し、そしてようやく手の中に収まりかけた。

が、思ったより重みがある。
日頃の恨みはあろうとも、間違っても彼女の上に落とす訳にはいかない。
彼女の小さな頭越しに左手を添えて取り出した。



「どうぞ」



降ろし様片手に持ち替え、彼女の胸元に押し付ける。
計らずも背後から手を回す形になってしまったが、別に他意はない。

だが。



「あ…ありがとね」



不必要な近さと背中越しの体温の為だろうか。
多少の事では動じないであろう彼女が、耳まで真っ赤にして居るではないか。

その様子を横から眺めて、ふとした思い付きに口元が軽く歪む。
成程、威勢がいい割にこういう接触には免疫が少ないと見える。


いつまでも俺の事を子供扱いするならば…
そう思わせないようにする迄だ。

細い両肩にそのまま掌を滑らせて、後ろから耳元に唇を寄せて囁いた。



「…どういたしまして」



近付けるだけのつもりが、柔らかな耳朶の端に触れてしまった。
その感触に驚いたのだろう、おねね様の身体が小さく飛び跳ねる。

悪戯染みた仕草、なのに期待以上の反応に気分が良くなった。



日頃のお説教のささやかな仕返しだ、これ位は許してもらおうか。





***


○この想いは何時からか


○そう簡単には変わらないらしい


○あなたの中の俺は一体何歳で止まってるんだ


○昔からこうしたかった(なんて言ったらどうする)


(昔から変わってない、あなたが昔から好きだ)




≡お題配布元≡

■サイト名:fisika 様




【お題初挑戦です★(ドヤァ)かなり心ときめくお題でした(*´ェ`*)い、活かせてるのかはわかりませんがorz 各話リンクさせる仕方が不明なので、ここを徐々に埋めて行きます。…完成はいつだr(】

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