believe-心-

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『此処からが本番だ。覚悟しろよォ?』



灯は五分くらい、総悟と剣を交えていた。

ちょうど五分くらい経っただろうというところで、灯は総悟に攻撃を仕掛けた。

今までとは比べ物にならねェくらい早かった。


総悟は攻撃をよけていた。

が、たぶんギリギリだっただろう。


総悟が攻撃をよけたかと思うと、次の瞬間には、灯はもういた場所にはいなかった。

俺の剣を、総悟の首元にあたるか否かの、ギリギリのところで止めて、総悟の後ろに立っていた。



「アンタ、一体……」

『元攘夷志士。今はもうやめた。攘夷志士たちと繋がりはない』



それだけ灯と総悟は会話をすると、灯は総悟の首元から剣を離し、俺の方へ歩み寄ってくる。

剣は握ってるし瞳孔は開いてるし、総悟とはまた別の黒いオーラをまとってるしで、灯は近寄りがたい。



『飯はあるか』



俺の前に剣を差し出しながら、灯は訊いてくる。

息一つ乱れていない。



「食うか?」

『食う』

「ついてこい」



刀身を鞘に収めながら、俺は歩き出す。

向かう先は食堂。




数分歩いて着いた食堂は、ガラガラだった。

まだ昼飯時じゃねェからか、否か。


数人休む隊士もいる。



「メニューは上だ。好きなもん注文しろ」



俺は灯にそれだけを言う。


俺も少し腹が減ったから、いつものランチを注文する。

食堂のおばちゃんはあいよと返事をして、奥へと行ってしまった。


俺は、いつも座っている席へと足を運ぶ。

灯がまだ選んでいることを気にせずに。



『カレー特特特盛り、中辛で』



いつも座っている席で、ランチが出来るのを待っていた。

そうしたら、聞こえてきた灯の低い声。

食堂のおばちゃんは、いつものようにあいよと言って奥へと行ってしまった。


注文を終えた灯は、俺の左横に座る。



「灯……特特特盛りなんて食えんのか?ウチで最も恐れられてるヤツだぜ?」

『食える』



躊躇いもなく答える灯。


しばらくして運ばれてきた、カレー(中辛)特特特盛りを灯は完食した。

たったの5分程度で、サラッと。


元攘夷志士とはいえ、灯は女だ。

真選組の隊士でさえ、完食することの不可能だったあの特特特盛りを、苦しい表情一つ見せずに平らげてしまうなんて。

それも、たったの5分程度でだ。

一体灯は何者なんだ?


コイツは謎だらけだ。

俺らのことを信じないと言っていた。

だから、色々訊き出すのには、まだまだ時間がかかるだろう。


このことは、まだ俺しか知らない...




君の全てなんてもってのほか。

君について何もわかんねェし、まだ訊き出せそうにもねェ。






(2009.07.24)


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