believe-心-
□08
2ページ/2ページ
銀時と再会した次の日。
今日はちょうど非番だ。
だから銀時に会いに行く。
口封じの為に。
銀時に、私に関することを隠しているとは言った。
だけど口封じまではしていない。
暇が出来たら遊びに行くと約束もしたし。
「灯」
『……なんだ』
「何処、行くんだ?」
『銀時のところだ』
副長に止められた。
けれど、それだけの会話をして私は屯所を出た。
昨日銀時に貰った名刺を頼りに、私は万事屋銀ちゃんを目指す。
『此処か……』
しばらくして、“万事屋銀ちゃん”に辿り着いた。
少し迷ってしまったけれど。
階段を上がり、チャイムを鳴らす。
中からはーいと男の子の声が聞こた。
その声がした少しあと、目の前の扉が開いた。
「依頼ですか?」
『いや、銀時に用がある。呼んでもらえるか?昨日会った旧友だと伝えればわかるはずだ。わからなかったらそうだな……攘夷時代を共に過ごした戦友だと言ってくれ』
「わかりました。ちょっと待ってて下さいね」
『ああ』
出てきた眼鏡の男の子は、礼儀正しく接してくれた。
初めので通じたのか、すぐに銀時は出てきた。
「どうした?咲菜」
『ちょっと話があって。来てくれる?』
おう、と言って銀時はついてきてくれた。
まぁ甘味処には銀時が案内してくれたけど。
「で、話って?」
『うん。私のことなんだけど。昨日私に関することは、隠してるって言ったじゃんか。それで銀時も、私のことは隠しといてもらおうと思って。副長とか昔の私を知らない人の前では“灯”って呼んで』
「おう、わかった」
やっぱり、銀時は聞き分けがいい。
昔からそうだった。
みんなの中で、一番銀時が聞き分けがよかった。
今日は非番だ。
昨日みたいにお腹が空いたって焦らなくていい。
銀時とゆっくり話が出来る。
みんな、晋助とかヅラとか辰馬とか、今なにしてるのかとか、色々訊きたいことがある。
口封じもしなきゃいけない。
だから、みんながいる場所も訊かなくちゃいけない。
会ったら、ゆっくり話がしたいな。
昔みたいにみんなで集まって、ってのは無理だと思うけれど。
想い出も楽しい物ばかりじゃないけれど。
そりゃそうだけどさ。
だけど思い出すのは、やっぱり楽しかったことばかり。
楽しかったんだもん。