この詩は誰のもとへ
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体育祭が終わってから、もう四ヶ月くらいが過ぎた。
年が明けて冬休みが終わって、学校が始まった。
冬休みの間は、たまに七海の家に行ったり、一護の家に行ったり。
七海を家に呼んだこともあった。
年が明けて二週間くらい経ったある日のこと。
二限目の授業を受けてるとき、気づいたことがある。
七海がいねえ。
一限目はいたのに。
と思って俺は、授業が終わると教室を出た。
今日は雨降ってる。
だから俺は、流石に屋上にはいねえだろうと思った。
で、屋上以外の全てのところを捜してみた。
チャイムが鳴っても気にせず捜した。
だけど七海は何処にもいなくて。
とりあえず、最上階まで上ってみた。
「あ……」
屋上へ出る扉の右隣の壁にもたれかかって寝ている七海を、見つけた。
俺は七海が起きねえようにそっと歩み寄った。
「……っ///」
ふと見た七海の寝顔が無防備で可愛くて。
思わず頬に、熱が集まった。
やべえ、マジ可愛い。
とか思ってる俺は重症か?
「……なにやってんだよ、俺……」
気づけば、無意識のうちに七海にキスしちまってた。
これは重症だと、自覚した。
七海が好きだと。
俺は七海の隣に座って、七海が起きるのを待つことにした。
授業なんてどうってことねえだろ。
なんかあれば七海がいるわけだし。
七海と一緒にいる時間が増えて、一石二鳥じゃねえか。
「風邪、引くぞ。七海」
俺は呟いて、自分の学ランを七海にかけた。
少し寒かったけど、これくらいなら大丈夫だ。
『恋、次……』
ボーっとしてると、聞こえてきた七海の声。
起きたのかと思って七海を見ると、七海はまだ眠っていた。
なんだ、寝言か。
と思って七海から目を逸らそうとすると、何かが見えた。
『死な、ないで……』
俺が見たものは、涙だった。
七海がそう言うのとともに、目から涙が零れた。
「俺が死ぬかよ、バーカ」
聞こえてないだろうけど、俺は小声で七海に言った。
届けばいいななんて、淡い期待を持ちながら。
無防備な七海に、キスしちまった。
無防備な方が、悪いよな……?
きっとまたこんなことがあったら、キスしちまうだろうな。