この詩は誰のもとへ

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恋次が私の家に来た日の次の週の木曜日。

お昼休みに、私は恋次、一護、ルキアちゃんと屋上でお昼を食べた。


ルキアちゃんはとっても可愛くて、羨ましいと思った。

お昼を食べながらルキアちゃんと話をして、私はそう思ったのだ。

話をしたって言っても、私は質問に答えたりするくらいで。

ほとんどはルキアちゃんの話を聞いていただけ。


だけど……女の子と話してて、こんなにも楽しかったのは初めて。



「七海」

『ん?』



七海がそんなに笑ってるの見るの久しぶりだな、って、一護に言われた。

なんだか嬉しいようなくすぐったいような、そんな気持ちが、私の中にあった。



「恋次が好きなのだろう?」

『なっ、なな、なに言ってるの!そんなわけ……』



顔が赤いぞ、とルキアちゃんに言われた。

言われてみれば……頬に熱が集まっているような気がしなくもない。



「恋次はああ見えてモテるのだ。早めに告白しておいた方がよいぞ」

『る、ルキアちゃん!』



耳元でルキアちゃんに囁かれた。

ルキアちゃんに何か反論をしようとしたけれど、ルキアちゃんは一護と屋上を出ていってしまった。

行くぞ一護、と言って。


屋上には、私と恋次の二人きりになった。



「ルキアに何言われたんだ?」

『な、何でもない、よ』



真っ赤になっているだろう顔を恋次に見られたくなくて、私は俯いた。

だけど恋次に顎を持ち上げられて、目を合わせられて、顔真っ赤だぜ、って言われた。


誤魔化す方法とか言葉とかが何も思い浮かばなかった。

だから私は、気のせいだよって返す。

そしたら恋次は、ずるいんだから。



「ま、そんな七海も可愛いけどよ」



なんてさ、私の頭をくしゃくしゃっと撫でて言っちゃってさ。

どう対応していいか、わかんないじゃん。

もっと顔真っ赤になっちゃうじゃん。



『ばか恋次』



私は俯いて呟いた。

恋次に聞こえたかどうかはわからない。


こんなにドキドキしたのは、あの日以来だ。

体育祭の練習をサボってたときに恋次が来て、掃除用具入れに隠れたとき。

心臓の音がうるさくてうるさくて、壊れちゃうんじゃないか、って思った。



「なあ七海」

『ん?』

「七海はさ、」



恋次はそこまで言って、言葉を紡ぐのをやめた。


きっとまだ私の顔は赤いまま。

だから俯いたままで、恋次の顔を見れない。

どんな表情をしているのか、わからない。


もちろん、これから恋次が、どんな質問を私に投げかけてくるのかも。




木曜日の、お昼休みのこと。

恋次が好きなんだって、改めて実感した。






(2009.07.19)


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