茜を拾ってから数日後。
俺は、外に出ようとしない茜を、無理矢理外に連れ出した。
嫌だ嫌だと言いながらも、茜はスクーターの後ろに乗ってからは大人しくなった。
『ぎ……銀、時!』
「なんだァ?!」
『何処、行くの?!』
「ついてからのお楽しみだ!」
今日は茜に、歌舞伎町を案内してやろうかと思う。
まずは遠いところから。
人が嫌いだと言うことは、たぶん人混みも嫌いだろう。
なるべく人の少ないところを通っていこう。
テキトーに、行きつけの店だとか気に入ってる店だとかそんなのを、万事屋に近い方へ進みながら案内した。
どの店でも茜は、目を輝かせて見ていた。
でも、アレ欲しいコレ欲しいとは、一切言わなかった。
『銀時、次何処行くん?』
「おまっ……すっげェ可愛いんだけど///」
目を輝かせながら、楽しそうに訊いてきた茜。
その茜は、初めて会ったときよりもずっと可愛かった。
いつもそんな顔をしていればいいのに。
と思うけど、そうもいかねェらしい。
「あれィ?旦那じゃねェですかィ。そっちの美人さんは彼女ですかィ?」
沖田くんの声が聞こえた、その途端。
みずきは暗い表情になって、俺の後ろに隠れた。
「コイツは最近拾ってきたバイト。燈夜李茜っつーんだ」
「燈夜李、茜……?」
「知ってんのか?」
「いや、たぶん人違いでさァ」
多少の疑問はあるが、訊かないでおく。
何故か、訊いてはいけないいような感じがしたから。
茜は相変わらず俺の後ろで、俺の服を掴んでいる。
表情も暗いままだ。
『銀時?行こう?』
「だぁ〜いじょうぶだ、茜」
なんだか、幼い子を宥めているような気分だ。
でも茜は、子供にするより……。
沖田くんはお前ェを、怖い目に遭わせるような奴じゃねェ。
ということを、茜に教える。
ドSといえど、人を傷つけるような奴じゃねェ。
「だからまず自己紹介から、ほら」
初めて会ったときと同じように、無理矢理沖田くんの前に出す。
茜はかなり緊張しているみたいだ。
『あの、えっと……燈夜李茜です。よろしくお願い、します……』
「沖田総悟でさァ。そんなに緊張しないで下せェ。俺ァ何もしやせん」
沖田くんの言葉に、茜は少し緊張が解けたみたいだ。
俺たちは、10分くらいその場で話していた。
茜のあんな可愛い笑顔を見た俺としちゃ。
いつもあんな暗い表情をしとくのは、もったいねェと思う。
だってそうじゃねェか?
可愛く笑えるのに笑わねェなんてよ。
すっげェもったいねェじゃねーか。
目の前に美味そうなパフェがあんのに食わねェ。
それと同じだ。
過去にどんなことがあったのかは、俺にゃわかんねェ。
けど、今生きてるんだから、過去に縛られずに、今を楽しめばいいと俺ァ思う。
今と過去違ェんだ。
過去に生きたって、過去に縛られたって、いいことなんざ何もねェ。