少し前に出会ったばっかりの、妙ちゃんの家。
今日は“お祭り”があるからって、妙ちゃんに“浴衣”ってやつを着せてもらった。
「はい、これでいいわよ」
『うわ〜!おおきに、妙ちゃん!』
「うふふ、どういたしまして」
「茜、ごっさ可愛いアル!」
『おおきに♪』
妙ちゃんは、手際よくあたしに浴衣を着せてくれた。
黒地に“花火”が描かれたやつ。
それに髪の毛も結ってくれた。
あたしは神楽ちゃんと妙ちゃんと一緒に行く。
銀時と新八くんが待つ、妙ちゃんの家の門のところに。
『銀時〜!新八く〜ん!』
手を振りながら名前を呼ぶ。
銀時はダルそうに手をヒラヒラさせる。
新八くんは普通に手を振ってくれた。
最近は万事屋のみんなには慣れてきた。
まだ全部を話せる程、信頼してるってわけやないけど。
「銀ちゃん顔赤いアル。顔に赤いペンキでも塗ったアルか?」
「いやいや神楽ちゃん、ペンキは顔に塗るものじゃないからね」
確かに銀時の顔が赤い気がする。
なんでやろう?
……夕陽が当たってるからかな?
「茜」
『ん?』
銀時はちょっと躊躇った。
けどあたしの耳元で、確かに言った。
「祭り会場は危ねェ。今日は俺から離れるな」
と。
あたしは頷くことしか出来ひんかった。
首を横には、振られへんかった。
あたしを含め5人でお祭りの会場まで来た。
其処にはいろんなお店があって明るくて、人がぎょーさんおって、楽しかった。
あたしは言われた通り、絶対に銀時から離れへんかった。
お祭り会場が危ない、ってどういうことやろう。
人がぎょーさんおるから、人混みに押し潰されたり、流されたりしてはぐれたりするから?
人見知りするあたしが、銀時たちとはぐれたとしたら、どうしようも出来へんから?
でもそれなら、別に銀時じゃなくても新八くんでも大丈夫。
“銀時から”に意味があるんかな?
銀時しか出来ひんこと?
銀時じゃないと危なすぎること?
in the festival!お祭りで。
よくわからへんけど、銀時から絶対に離れへんようにしよう。