俺と茜は病院を出た。
今日茜は、退院だ。
傷は大体治った。
もちろん腹の傷も。
もうしばらくは家の中で、安静にしてねェといけねェみたいなんだが。
『銀時。なんか、食べに行かへん?』
「パフェでも食いに行くか?茜の退院祝いに」
『うん!』
茜は、あの笑顔を見せた。
眩しいくらいに可愛い、あの笑顔を。
俺と茜は、いつも以上に色んな話をしながら歩いた。
俺の行きつけの店へと。
その店は、病院からも万事屋からも遠くないところにある。
大江戸病院から15分程歩いた頃、店に着いた。
店に入って席に着くと、俺らはすぐにパフェを頼んだ。
俺も茜もチョコレートパフェ。
頼んだチョコレートパフェは、意外と早く運ばれてきた。
『美味しい……』
「茜、此処来んの初めてだっけ?」
『うん。あたしあんまし外出んから」
「そうか……。じゃあまた連れてってやるよ」
俺が言うと、茜は目を輝かせて、約束やで、と言った。
また俺と茜は、色んな話をしながらパフェを食べて、店を出た。
万事屋へ帰る為に。
話をしながら歩いていた。
ふと茜を見ると、右足を引きずっているように思った。
「茜」
『ん?』
「足……右足、どうしたんだ?引きずってるみてェだけど」
『なんか、ちょっと痛い、かな。たぶん病院でこけたときのかも』
それを聞いて俺は、俺の左側を歩いている茜をお姫様抱っこした。
驚く茜。平然とする俺。
『ぎ、銀時?!』
「無茶すりゃ悪化するだろ。大人しくしてろ」
けど……。
って言うのかと思った。
だけど茜は何も言わずに、俺の服をぎゅっと握って俯いた。
頬が少し、赤かったような気がする。
万事屋に着くと、新八が茜の足を診てくれた。
ただの軽い捻挫みたいで、すぐに良くなるらしい。
チョコレートパフェを食べながら交わした約束。
その約束が果たせるかどうかは、誰にもわからねェ。