あれから、何度呼びかけてみても、何度名前を呼んでみても。珠姫は返事をしてはくれなかった。誰かが救急車を呼んでいたらしい。珠姫はその箱に乗せられて、病院へと搬送された。俺は、珠姫の治療が終わるまでずっと。そう、ずっと。廊下のベンチに座っていた。珠姫が無事であるようにと、必死で祈りながら。ある天人の話