危なかった。もう少しで、副長に本名がバレるところだった。そんなことがあっちゃ困る。私のことが、今まで隠してきたことが全てバレてしまう。私の過去も、全て。今の私は、隠さなきゃいけない。あのことも、本名も、全て隠さなきゃいけない。今のままの私じゃ、隠さなきゃ自分が壊れてしまう。折れてしまう。そんなことが、あってはならない。――きっと私は、ただの臆病者でしかない。まだ、言えない